気象衛星NOAAの受信用アンテナということで、当初は簡易的に専用の垂直ダイポールアンテナや145/432MHZ グランドプレーンを使用して受信していました。
受信していますと、よりきれいに受信したいと思うのが人情でしょうか。そのためにはちゃんとした受信アンテナ が欠かせません。そこで、一体どのような偏波方式で電波が送信されているか調べると「右旋回偏波(CW: clockwise)」 になっていました。そのようなことから受信するアンテナは円偏波アンテナ(ターンスタイル、QFH型等)の 使用が望ましいことが判りました。
気象衛星受信用のQFHアンテナはナガラ電子発売されているようですが、結構なお値段でお遊び程度で受信する のに購入するのはもったいないと思い、お得意の自作することにました。QFHアンテナの自作に関するデータを 探しましたところ、下記のイギリスのアマチュア局による製作記事が見つかりました。
QFHアンテナ自作に関するホームページ
Bill Sykes G2HCG and Bob Cobey G0HPOホームページこの局が作ったものは、エレメントに8mmの銅パイプを使用した本格的なものです。そこまで本格的な ものは必要ないと考え、簡単に入手可能な屋内配線に使用される2.6mmのVA電線の被覆を剥いで代用しました。
原典よりエレメント直径が約1/3ほど小さいため、エレメント長さの調整が必要ではと考えましたが、 計算方法等が分かりませんので原典の寸法で作ったところ、結果は共振周波数が550KHZほど高くなっていました。
この状態でも145/432MHZ用のグランドプレーンで受信するよりきれいに画像受信ができていました。ところが 最近コン柱上のアンテナ設備撤去に伴い、このQFHアンテナの移設が必要になりました。
せっかくQFHアンテナを下すなら改造をしたいと考え、QFHアンテナの自作で検索したところ下記のような ホームページが見つかりました。
★ QFHアンテナ自作のおすすめのホームページ
新ハイブリット無線室のホームページ ※イギリスのアマチュア局(G2HCG G0HPO)と同じ方法で自作気象衛星NOAA用 受信アンテナの製作のホームページ ※エレメント長さを計算できるソフトを使用して自作
計算ソフトを使用して再設計
上記のおすすめのホームページの下段の計算ソフトを使用した方のホームページを参考に早速計算させてみました。現在使用中のQFHアンテナの縦横比を計算してみると0.67になっていました。この方のアンテナ計算ソフトに関する説明では、縦横比を小さく設定(※0.3〜0.4)すると低仰角時のゲインが上がるとなっています。そういえば仰角が低い位置では、144/432MHZグランドプレーンアンテナを使用した方が信号が強く入感していました。そういう意味では現用品の0.67は、低仰角向きではないと思われます。
販売されているメーカー製のQFHアンテナも、写真で見ると縦長の恰好をしています。多分縦横比0.44くらいの比率で設計されていると思われます。ということで、せっかく計算をしましたので、縦横比0,32に改造してみることにしました。
QFHアンテナの計算ソフトは下記のサイトにあります。http://www.jcoppens.com/ant/qfh/calc.en.php/
このソフトで計算させる場合は、設計周波数を含め、6つのデータを入力する必要がありそうです。この6つのデータを入力後計算ボタンをクリックすると、アンテナ制作に必要な各データが出力されるようです。ちょっと計算させてみました。入力が必要な6項目は下記のデータを入力しました。
@Design freqency(設計周波数)=137.5MHZ
ANumber of turns(twist)(下部エレメントを何回捻るか。通常は0.5回転)=0.5回
BLength of one turn(何波長で作るか。通常は1波長)=1波長
CBending radius(曲がり個所の直径)=2mm (※エレメントが直角に曲がる箇所の回転半径、エレメント総長に反映される)
DConducter diameter(エレメント直径)=2.6mm
EWidth/height ratio(エレメント縦横比。デフォルト値は0.44) =0.32 (※数値が小さい方が低仰角時のゲインが大きくなる)
計算結果は下記のようになりました。せっかくの機会ですので、今回のQFHアンテナの制作過程の詳細を順に写真でご紹介します。下記の写真の中で、プリント基板を使用したエレメント基台を作っていますが、プリント基板の入手が困難な方や、この部分を作るのが面倒だとお思いの方は、作らずに済ませても問題ないと思います。基台を作らない場合は突合端子を取り付けた2個のL字型電線に同軸ケーブルの芯線と網線をそれぞれハンダ付けし、両電極が短絡しないように適当な絶縁物を間に入れ、全体の形を整えてホットボンドで固めてしまう方法でもいいと思います。
また、特に注意する点としては、ラージLまたはスモールLのエレメントを下部で塩ビパイプを貫通させた後、90度上に曲げ、そのエレメントの先端を、L型電線の突合端子に接続する際は、下から見上げて180度左方向に回転した突合端子に接続させることです。
これを逆回転方向に接続すると、円偏波の回転方法が逆になり、所定の性能が得られないことになります。私の書いているスケッチ図や、ほかの方のホームページで予め捻じれる方向を確認され、間違わないようにしてください。
一応出来上がりましたが、共振周波数を測定した際にたくさんの共振点(※ディップ箇所)が見受けられました。共振周波数として記載している137.144MHZが果たして正しいのか自信がありません。ちなみに、たくさんの共振点の中に145.053MHZがありましたので、実際に145MHZのFM波を乗せてみました。結果はSWRが1.5で145MHZのアンテナとしても問題なく使えそうな感じでした。ということで、早速ローカル局に電話をかけて呼び出して145MHZで実際にコンタクトしてみました。結果は通常使うには全く問題なく使用できました。
気象衛星受信の方は実際にNOAAの信号を受信してみましたが、こちらの方も受信画像を見た限りではそこそこの画像が得られましたので、とりあえず完成ということにします。しばらくこのまま使用し、何らかの不都合があった時点で、今度は縦横比0.44に再改造するかもしれません。
145MHZ、432MHZ用のQFHアンテナ(おまけ)
このQFHアンテナに関して、QRP仲間のJA6DWO局が145MHZ帯で使えるものが作りたという話をしていました。話を聞いた時点では今回の計算ソフトを知りませんでしたので、出来ないことはないと思うがエレメント長さの算定方法が分からないねという話で終わっていました。今回計算ソフトが見つかりましたので、ついでに145MHZ用と435MHZを計算をさせてみました。結果は下記のようになりました。これは計算ソフトを使用してエレメント長さを出しましたので、オマケで電波を乗せた時と違い、多分問題なく使用できると思います。144MHZや432MHZ用のメーカー製のアンテナは、値段が高いため、それに比べて安価に出来るこのQFHアンテナを、下記のデータで自作されたらいかがでしょうか。ただしこの144MHZ用や432MHZ用は、私が実際に作ったわけではなく、あくまで計算上の話ですので、うまく働くかどうかの保証はありません。