スケルトンスロットアンテナは、文献によるとヨーロッパでTVアンテナ用として開発された広帯域アンテナとなっています。
国内では小林OM(JA7GB)が、アマチュア無線用のスケルトンスロットアンテナの制作記事を、過去CQ誌などで数回にわたり発表されていました。
このアンテナの特徴は、ラジエターの構造から非常に広帯域であること、またマッチングセクションの必要がなく、直接同軸ケーブルをラジエターに接続できることなどです。
普通のアンテナでは、インピーダンス合わせのためのマッチングセクションが必要ですし、その部分の制作が結構厄介です。またアンテナをスタック化する場合は、更にそのためのマッチング回路が必要になります。
このスケルトンスロットアンテナは、最初からスタックアンテナと同じ構造ですから、マッチングセクションが普通のアンテナに比べ大幅に簡素化されます。しかも広帯域となればアマチュア無線家にとって自作しない手はありません。
私は小林OM(JA7GB)がCQ誌に制作記事を発表されて以来、このアンテナの素晴らしさに惚れ込み、430MHZ用や1200MHZ用のスケルトンスロットアンテナを自作し、現在も愛用し続けています。
過去数回にわたり、劣化による作り替えをしましたが、ラジエター部分は最初に作った物を現在でも使用しています。下の写真は、このコナーで紹介するスケルトンスロットアンテナが完成する直前まで使用していた、古いタイプの430MHZ用スケルトンスロットアンテナです。
最初に自作した時は、ラジエター部分には径10oの銅パイプを、またリフレクターやディレクターには、TVアンテナに使用されていたアルミパイプをそれぞれ使用していました。(※エレメントが黄色や赤色と実にカラフルでした)
また各エレメントをブームに取り付けるブラケットは、これもまたTVアンテナに使用されていたブラケットをそのまま流用していました。
劣化のため何度かオーバーホールをしたと書いていますが、実はこのブラケット部分が曲者で、通常のTVアンテナのブラケットを使用した関係上、4〜5年でブラケット部分が破損してしまい、作り替えを余儀なくされていました。
数年毎に作り替えるのでは芸がありません、なんとかこのブラケット問題が解決できないものかと思い、無い知恵を絞って考えてみました。
ヒントは身近なところにありました。それはUHF用のTVアンテナでした。ご承知のようにUHF用のTVアンテナは、ブラケットを使用せずブームにエレメントを直接差し込んで固定しています。これと同じ方法をとれば、エレメントを固定するためのブラケットが必要ありません。よし、これと同じ方法で作ろうと考えました。
改良版のアンテナのブームは、前回までと同じく塩ビパイプを使用しました。この塩ビパイプも、昔のものに比べると材質が格段に良くなり、長期間の使用で表面は白く変色しますが、冬場の寒気でもひび割れを起こすことがありません。何よりも値段が安く簡単にどこでも入手できるのが魅力です。
次にエレメントパイプですが、前回作品まではラジエター部分のみ銅パイプ、その他の部分はアルミパイプを使用していました。当然アルミパイプの方がアンテナ全体の軽量化はできますが、ブームに固定する方法に難があります。
以上のようなことから、エレメントはすべて銅パイプにしました。アンテナ全体が少し重くなりましたが耐久力は抜群です。
この銅パイプはエアコン配管用の銅パイプが流用できます。エアコン配管用銅パイプは、室外ユニットと室内ユニット間を接続する高圧用(小径パイプ)と、低圧用(大口径)がそれぞれ使用されています。特殊な取り付け場所を除き、パイプの長さは相当余裕があり、家電店にはこのパイプの切れ端の余ったものが放置されています。このパイプの再使用方法は銅屑しかならないため、場合によってはタダで譲ってもらえると思います。
以上のような材料を使用して自作したのが、下の写真のスケルトンスロットアンテナです。
銅パイプのエレメントをブームに取り付けるの一工夫しました。どのようにしたかは、下のエレメント固定方法をクリックしカット図をご覧下さい。
エレメント固定方法(gif 8kb)
もっともらしく書いていますが、要はブームにエレメントが通る穴をあけ、それに銅パイプのエレメントを差し込みます。そのままではエレメントが下に抜け落ちますので、下に抜けないように上側に銅線のリングを取り付けているだけです。
そのままでもいいんですが、アンテナを逆さまにすると、全部のエレメントが抜けてしまいます。これを防止するため、リングの反対側をボンドで簡単にちょい止めしています。通常の設置状態では、地球の引力で下方向にしか力が加わりませんので、上のリング部分にしか力が加わらず、このようなちょい止めでも全く問題はありません。