IV電線で作る八木アンテナ

IV電線で作る50MHZ八木アンテナ

(最終更新 2022.12.20)

 このところアンテナの自作はZLスペシャルばかりになっていました。このZLスペシャルも2ELまでは順調にアンテナ計算ソフトMMANAで計算ができました。ところが3ELになったところで、De(導波器)のデータ入力方法がはっきりせず、多分これでいいだろうという数値で入力していました。

 このような状態では計算結果が果たして正しいのかという疑問が発生し、何となくすっきりしないままになっていました。フロントゲインやF/B比の改善のために計算を繰り返しても、計算結果に信頼性がなければ、無駄な努力に思えてきました。

 このようなことから多エレメントのZLスペシャルアンテナの検討は一時中止し、代わりに普通のIV電線を使用した八木アンテナを試作してみることにしました。これですと計算ソフトMMANAで入力方法に迷うことまなく、よりよい性能を目指して検討作業ができます。

 最初にここでフロントゲインの考え方について整理しておきます。昔の話で恐縮ですがその昔はこちらのアンテナゲインは〇〇dBです。という表現で対ダイポール比(相対利得dBd)を使っていたと思います。ところが最近ではアンテナメーカーさんが少しでも数値を大きく見せたいということで、絶対利得(dBi)表示を盛んに取り入れています。

 ご承知のように同じゲインですが絶対利得(dBi)と相対利得(dBd)には2.15(2.14という説もある)の差があります。絶対利得=相対利得+2.15という関係になります。アンテナのゲインの話をしているのを聴いて、エレメント数に対してゲインが大きいなと感じる局は、大体メーカー公表の絶対利得(dBi)を言っているようです。

 アンテナのゲイン測定の際には確かダイポールアンテナとの比較で測定をしていたと思います。そのようなことから、もし絶対利得の数値を使うなら比較の対象になるダイポールアンテナのゲインはゼロではなく+2.15dBiという数値を使わないと合わないことになります。

 +2.15の下駄をはかせた数値からダイポールアンテナのゲインの2.15を引くのなら、最初から対ダイポール比の相対利得を使用した方が遥かに分かりやすいと思います。従って以後このコーナーで使用するフロントゲインは、原則通り相対利得(対ダイポール比)dBdを使用した数値で比較することにします.

 ということで早速検討作業に入りますが、まずエレメント数とフロントゲイン関係がどのようになるかを知っておきたいと考えました。具体的にはメーカー製アンテナのデータを集めてみました。各メーカーはアンテナ製作のプロですので、検討を繰り返して製品化していると考えられます。プロが検討して作り上げたアンテナの性能がどのようなものかを調べてみると、結果は下記のようになっていました。(※とりあえず見つけたものだけを記載しています)


 2ELは 各社ともHB9CVタイプで位相差給電アンテナのためフロントゲイン通常の八木アンテナより0.4dBほど多い4.16dBdになっています。3ELは7.35dBd、4ELは9.05dBd、5ELは9.86dBdになっていました。

 傾向としては、ダイポールアンテナから3ELまではエレメントが1つ増えるごとに約3dBd程度のゲインアップになっていますが、3EL以降はエレメントが1つ増えただけではゲインアップが半分の1.5dBd程度にしかならないようです。このようなことから、ブームの長さ等を考慮すると、わたしが作るアンテナは設置する環境(車庫の屋根上)で最大でも4ELか5ELが限界かなと考えています。

 以上のような事前調査結果から3ELでは7dBd、また4ELなら9dBd、5ELなら10dBdを取り敢えずの目標値にします。果たしてメーカーさんと同じようなゲインが出せるような物ができるでしょうか。 




試作中のHB9CVもどきアンテナ


 何とも貧相なアンテナで恐縮ですが、アルミパイプを使用せず、通常のIV電線を使用してアンテナができないかと考えました。ヒントは過去にコンタクトをしたJA6RMS/6局が電線で位相差給電タイプのアンテナを自作され移動運用されていました。

 このコンタクト時には詳しい内容をお聞きできませんでしたが、どのように作られているのか非常に興味がありました。この次お会いできたときに詳しい内容をお聞きしようと考えましたが、その後お会いできず聞くことができていません。

 共振帯域幅に差が出るとは思いますが、アンテナエレメントはアルミパイプでしか作れないということではなく、入手が楽で値段が安いIV電線で自作できるなら、それはそれで面白いだろうなと考えた次第です。

 最初に2ELのHB9CVアンテナを作ってみることにしました。下の写真で分かるように通常のアルミパイプや300Ωのフィーダー線を使用せず1.25SQ(スクエアー)直径1.5mmのIV電線をエレメントに使用して作ってみました。

 結果から先にいいますと、この形ではうまく動作しませんでした。この形態でアナライザーで共振周波数を測定してみると40MHZ位で共振していました。原因はRa(副射器)とRf(反射器)間を捻って接続する電線部分がエレメントの一部として動作しているようです。

 一応MMANAのHB9CVを使用してエレメントの長さを計算させ、そのデータに基づき作っていました。この時の計算結果ではフロントゲインが4.76dBd、F/B比が15.91dB、共振周波数が50.201MHZという立派なものでしたが、Ra(ラジアル副射器)とRf(リフレクター反射器)間を捻って接続する電線部分にエレメントと同じ電線を使用し、その部分の電線の間隔もい加減な状態で作ったのが間違いのもとだったと思われます。

 HB9CVのサンプルを使用せず、現状の形の物をそのままMMANAで作って計算させると、フロントゲインが1.34dBd、F/B比が2.48dB、共振周波数が42.980MHZとダイポールアンテナ並みの酷い計算結果がでました。Ra(副射器)とRf(反射器)間を捻って接続する電線部分をほかの部材(2芯VVFケーブル等)に変えると、少しはましなものができるかもしれませんが、一旦このインチキHB9CVは保留し、構造が簡単な通常の2EL八木アンテナで再挑戦することにします。  

      
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
プラBOXに同軸コネクターと
写真のような端子を取付けた
同軸コネクターと端子間に
ソーターバランを入れた
両横に伸びているのがラジエター
下に伸びているのがRfとの接続線
ラジエターとリフレクターを
HB9CVのようにクロスして接続
ブームと8mmダンポールに電線
をビニールテープで止めて完成
???
そのうちに登場します
HB9CVとして計算させたもの
Fg=4.76dBd、F/B=15.91dB
現状の形で再計算させたもの
Fg=1.34dBd、F/B=2.48dB




試作予定のワイヤー八木アンテナ


 上記のHB9CVもどきは見事に失敗作でした。考えてみますと構造が複雑な(それほどでもない)HB9CVタイプを最初に選んだのが間違いのもとだったようです。しかしながらHB9CVアンテナは、F/B比やサイドの切れ面で通常の八木アンテナより優れているとわたしは思っています。このようなことから、通常の八木アンテナの実験が終了したら再度挑戦するつもりです。

 以上のようなようなことから、構造が簡単な通常の八木アンテナを1.5mmのIV電線で作るという条件のもと、幾つかのアンテナを検討してみました。検討結果は下記の表のようになりました。

 ※MMANAの計算上は下記の表のような結果になっていますが、このあと試作NO5データで作成し共振周波数を測定したところ、大きくズレていました。従って試作NO5だけは比較のため残しましたが、ここに掲載したエレメントデータで作られても、共振周波数が大幅に合いませんのでご注意ください。


 上記のエレメントデータ試作NO5の計算結果を下記でリンクさせました。興味がおありの方は下記のmaaファイルをマウスで右クリックし「名前を付けてリンク先を保存」を選択してmaaファイルをダウンロードしてください。ダウンロードしたmmaファイルをMMANAソフトで開くと、当該アンテナの詳細な計算内容を見ることができます。

D.maaのダウンロード


 最初に試作NO2の2EL八木を考えましたが、作るにしても2ELでは話にもなりませんので、最低でも3ELを作るということで、上記表の試作NO5に挑戦してみます。なお試作NO5は計算上は下記のような諸特性になっています。果たして計算のような結果が得られるでしょうか。特に共振周波数が合うのか非常に興味があるところです。




試作NO5の測定結果


 50MHZのコンディションダウンとともにアンテナの必要性もなくなり、来シーズンまでに作り上げればいいや!という訳ではありませんが、月食を撮影したり紅葉を見に行ったり、またこれらの動画をYou tubeにアップロードするため編集したりで、このコーナーが暫くお休み状態になっていました。

 用件も大体済みましたので、先週くらいからアンテナ作業を再開しました。まず給電部分に接続していたHB9CVもどきのエレメントを外し、試作NO5のデータで作ったRa(副射器)に取り替えました。またDE(導波器)とRf(反射器)も同じく試作NO5のデータで作り上げ、各エレメントを所定の位置にセッティングしました。

 エレメント支持するパイプやダンポールは最終的に3ELZLスペシャルアンテナのコーナーで作った方法と同じ方法で作りました。ただし13mmの塩ビパイプをブームに取り付ける方法は、試作版ということでエレメント間隔が途中で変更になることが考えられますので、容易に位置が変更できる例のデベマウントという上等品を今回も仮に使用しています。各部の状態は下記の写真でご確認ください。

    
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
支持パイプは3ELZLスペシャルと
同じ部材で組み立てています
各エレメントは1.25SQの
IV電線を使用しています
プラBOXに同軸コネクターと卵型
ラグ板を取付てバランで結線
IV電線を支持パイプに取付けて
完成 今回もブームが少し湾曲


 各部の組み立てが完了した状態で早速共振周波数の確認をしてみました。共振周波数は43.5MHZになっていました。計算値と実測値では約7MHZ位の差が出ています。少々のズレは予想していましたが、まさか7MHZもの差が出るとは予想外です。そこで思い当たる原因について調べてみました。

 原因を探るためまずソーターバランを外してエレメントと同軸コネクター間を電線で直結したり、ソーターバラン強制バランに変更したりしてみました。これらにより共振周波数が若干の変化はあるもののMHZ単位の変化は見られませんでした。

 そこでバランを強制バランに変更し3ELの状態で再度共振周波数を測定してみました。測定結果は44.076MHZになっていました。ソーターバランを強制バランに変更することによって約600KHZほど共振周波数が上がっていました。強制バランの方が諸特性が優秀なため、このアンテナでは強制バランを採用することにしました。




エレメントを切り縮めて再測定


 MMANAの計算値と実測値がどうして7MHZも差が出るのか、わたしの乏しい知識では解明できません。理由は別にして、とりあえず共振周波数が50MHZ付近になるようなエレメント長さを計算してみます。これについては変更前と変更後の周波数を使用してエレメントの短縮率を算出するいつもの方法で計算します。

 計算結果で改造してもうまくいくかの保証がありませんので、とりあえず導波器(De)と反射器(Rf)を外して、ダイポール状態になった副射器(Ra)の長さだけを変更して共振周波数を確認してみます。具体的には、現在の実測共振周波数の44.076MHZを50.5MHZにしますので、エレメント短縮率=44.076MHZ/50.5MHZ=0.8728になります。

 副射器(Ra)にこの短縮率を掛けると次のようになります。Ra=2.90X0.8728=2.53m、具体的には副射器(Ra)の長さ2.90mを2.53mに切り縮めます。ダイポールアンテナ状態のRaを切り縮めた後、共振周波数を測定してみました。測定結果は50.126MHZになっていました。やはりエレメントが長すぎたようです。これで改造の方向性が見えましたので、引き続きRa以外のエレメントの長さの検討をします。

 Ra以外の各エレメント長さに前述の短縮率を掛けて変更後の長さを算出します。導波器(De)=2.78X0.8728=2.43m、反射器(Rf)=2.98X0.8728=2.60m、DeとRa間の距離S1=1.29X0.8728=1.13m、RaとRf間の距離S2=0.52X0.8728=0.454m、以上のようになります。この計算結果を基に各長さを変更し3EL状態で再度共振周波数を測定してみました。測定結果は50.129MHZに、またその時のSWRは2.25になっていました。

    
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
DeとRfを外して長さ2.53mの
ダイポールで共振周波数を測定
左の2.53mのダイポール状態の
共振周波数は50.126MHZでした
各エレメントのすべてを切り
縮め後の最終形態です
共振周波数は50.129MHZ
SWR=2.25になっていました


 余談ですが上記左端の写真で分かるように、1.25SQ(直径1.5mm)のIV線を使用して、ダイポールアンテナを作る場合、エレメントの長さを2.53mにすると共振周波数が50.126MHZ、その時のSWR値が1.3でうまく吸い込むようです。ただしエレメントを支持する方法は、13mmの塩ビパイプと8mmのダンポールを使用して写真のような組み立て方をしないと同じ結果は得られないと思います。(※電線に添わせる材質によって短縮率が変わるため)

 さて本題の3EL八木の方は、とりあえず共振周波数は50.129MHZでうまく共振しているようです。ところがSWR値が2.25と高くなっています。これはバランは入れていますが、インピーダンスを合わせるマッチング回路(ガンマーマッチ等々)が何も入っていませんので、SWR値が高くなるのは当然の結果といえます。




アンテナのマッチングをとる


 ここで少し前の方で写真を紹介していた「???そのうち登場します」と予告した正体不明のパーツの出番です。この「???」は実はアンテナカプラーです。今回のIV電線使用の八木アンテナでは、このアンテナカプラーでマッチングを取ろうと最初から考えていました。

 このアンテナカプラーを副射器(Ra)が接続されているプラスティックBOX内に収納し、バランのすぐ後に入れてマッチングを取れば、トランシーバー付近でSWRを測定した際にSWR値を低くできると考えました。

 通常アンテナカプラーは無線機付近で使用されるのが普通ですが、何もトランシーバー付近で使わなければならない理由はありません。むしろカプラーをアンテナ直近に入れることにより、反射波が同軸ケーブルの中を行ったり来たりすることもなく、同軸ケーブルからの不要輻射もなくなるメリットもあると思います。

 今回作ったアンテナカプラーは過去にネットで見つけた「HANさんのブログ」の製作記事をそっくりそのまま真似をして作っています。従来型のアンテナカプラーは下図の左のようなものが多く、調整するバリコンが3か所あります。実際にマッチングを取る場合はVC1〜VC3のバリコンをそれぞれ交互に操作し、SWR値をできるだ1に近づくように調整する必要があります。

 調整箇所が3か所あることで、実際に調整する場合は結構操作が面倒だと感じていました。ところがHANさんの作られているアンテナカプラーは「T型CLCアンテナカプラー」と呼ばれるもののようで、調整するバリコンがVC1とVC2の2個しかありません。これですと2個バリコンを交互に調整するだけでマッチングがとれますので調整が非常に楽になります。

HANさんのブログを見る

    

 今回作ったT型CLCアンテナカプラーは使用するパーツも、1.6mmの銅線を4回巻いたコイルが1個と50PFのセラミックトリマーが2個だけです。わたしはこれらのパーツを毎度お馴染みの多目的基盤(仮称)に取り付けて組み立てています。

                           
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
多目的基盤にコイルと50PFの
セラミックトリマーを取付
アンテナカプラーを入れて
SWRが下がるかテスト中
3EL状態の粗調整でVC1が20PF
VC2が31PFになっていました
Ra(副射器)→バラン→カプラー
→M型コネクターの順に接続


 ここで回路の中で使用するバリコン(セラミックトリマ)の耐圧について説明します。わたしの場合は5W以上のパワーを出すことがありません。そのようなことから、回路にかかる電圧が比較的低いためバリコンの代わりにセラミックトリマを使用しています。

 最近のQSOを聴いていますと最低でも50Wくらい出されているようで、10W出力の局は滅多に聞くことがありません。100W以上出される方はこのような貧相なアンテナは使われることはないと思いますが、50Wくらいで使用される局はひょとしておられるかもしれません。

 50W出力の場合同軸ケーブルにかかる電圧は何Vくらいになるのか計算してみました。下記の計算式でかかる電圧が出せると思います。多分間違っていないと思いますが、もし間違っていたら御免なさいです。


 5Wで22.4V、50Wで70.7Vになります。ここで注意しなければならないのはAM変調の場合に100%変調がかかった場合は電圧が2倍になることです。AM変調で50W出力で100%変調の時には耐圧100Vのセラミックトリマーでは耐圧不足の可能性があります。

 余談ですがYAESUのFT-817ではAM変調で無変調(キャリアのみ)の場合の出力は1.5Wに調整されています。FT-817は5W機という触れ込みになっていますので、100%変調時を考慮して、このような設定になっていると思われます。市販の50W機の場合のAM出力はどのように設定されているのでしょうか。

 50W出力でもAM変調以外(SSB、FM、CW等)では100V耐圧のセラミックトリマでも使えそうです。もっとも最近ではAMで交信する機会はありませんので、さほど心配することもないとは思いますが、もしAM変調で交信される際はこの辺を考慮しておかないと、セラミックトリマーがパンクする恐れがあります。

 心配な方は鈴商で販売されているPanasonicの20PFセラミックトリマーを2個並列で使用すると合計容量が40PFで耐圧が250Vのため安心して使用できると思います。いずれにしてもセラミックトリマーを使用される際は、この辺を考慮されて自己責任でご使用ください。

 マッチング回路全体をアンテナの直近のプラスティックケース内に収納するとなれば、大きなバリコンでは入りません。(ケースを大きなものに変えれば可能かも)タイトバリコンも最近はオークションでは見かけなくなりましたし、もし出ていてもとんでもない値段での取引になっています。その辺を考えるとコンディションのいい時に比較的ローパワーでコンタクトする方が正解のようです。

 コンディションが悪い時には100W出そうが1KW出そうがコンタクトができません。第一聞こえてきませんのでコンタクトのしようがありません。逆にコンディションがアップするとローパワーでも結構遠くまで届きますので、力をいれるならパワーアップより高利得のアンテナで送受両方のゲインを稼ぐ方が正道だとわたしは思っています。

 ということでとりあえずセラミックトリマーを使用する場合という前提で、現在ネット通販で購入可能セラミックトリマーの耐電圧を調べてみました。見つかったのが「秋月電子通商」と「鈴商」の2つのネットショップの商品です。取り敢えず見つかったものだけですので、他にも販売しているところがあるかもしれません。ついでに今回使用したIV電線1.25SQとカプラーで使用した多目的基盤のオークション先もご紹介しておきます。


  秋月電子通商のセラミックトリマー欄を見る ※ここで販売されている村田製作所のものは定格電圧が100Vのようです。
  鈴商のセラミックトリマー欄を見る ※Panasonicのものが耐電圧250V、スワローのものが定格電圧が200V、その他は100Vのようです。
  IV電線の入手先を見る ※1.25SQのIV電線の入手先のオークション。1.25SQ長さ22mが1080円送料185円で出品中です。
  多目的基盤の入手先を見る ※カプラー回路を組む時に使用した多目的基盤のオークション。5種類10枚で280円送料94円で出品中です。




共振周波数とSWRの測定結果


 3ELの状態でアンテナカプラーを仮調整後、ホームページで紹介しているHTK型Cメーターで各セラミックトリマーの静電容量を測定したところ、VC1が20PF、VC2が31PFでうまい具合にSWR値が下がっていました。

 粗調整が終わった状態で、アンテナを高さ4mまで上げて共振周波数を測定すると51.003MHZに、またその時のSWR値は1.1でした。その後アンテナを車庫の上の21MHZ ZLスペシャルの下に設置し共振周波数の最終確認を行いました。

                                                       
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
低位置でプラBOXの蓋を開けて
カプラーの粗調整をしました
アンテナを4mまで上げて
共振周波数を測定しました
地上4mでの共振周波数は
51.003MHZになっていました
21MHZ ZLスペシャルの下に
上げて最終の共振周波数を測定
車庫上の位置での共振周波数は
51.214MHZ、SWRは1.09
周波数50.100MHZの時の
SWR値は1.55でした
周波数51.200MHZの時の
SWR値は1.02でした
周波数51.800MHZの時の
SWR値は1.50でした


 最終的なアンテナの共振周波数は51.200MHZでその時のSWR値は1.02という結果になりました。50,500MHZにするつもりでしたが700KHZほど高くなったようです。50.500MHZで電波を出してカプラーを再調整すると、SWR最低の周波数を下げられるかもしれません。

 一応共振周波数もSWR値も特に問題になるような数値ではありません。ところが散々ここまで引っぱって来て今更ですが、JA6LPP局からもらったシグナルリポートで、このアンテナのゲインが3EL ZLスペシャルに比べると、かなり落ちることが判明しました。また低いSWR値のバンド幅も予想はしていましたが上記のグラフのようにV字型になっており、ZLスペシャルの広帯域共振に比べるとかなり劣っていました。

 アンテナゲインが低いのは、各エレメントを切り縮めた際にエレメント間隔S1およびS2も一緒に狭くしたのが原因かもしれません。この間隔を再調整するともう少しゲインが上がると思います。しかしながらIV電線を使用したアンテナでは、帯域が狭い問題は解決できそうにありません。またMMANAでの計算値と実際の共振周波数のズレの問題も片付いていません。

 このように問題山積の未完成状態ですが、IV電線で八木アンテナを作ったらこのようになりました。ということでとりあえずこのアンテナの実験は、年末にかかりましたので、これで終了にさせていただきます。もし作られる方は改良の余地があることを十分考慮され、満足のいくアンテナに仕上げてください。



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