50MHZ 3EL ZLスペシャルアンテナ

50MHZ 3EL ZLスペシャルアンテナ

(最終更新 2023.06.24)


 寒さのため昨年末から作業を中断していた50MHZの2エレZLスペシャルアンテナは、4月に入ってアタフタと作業を開始し、なんとか完成しました。2エレのコーナーの最後の方で3エレ化についての予告画像を上げていましたが、引き続き3エレ化のための検討を続けていました。

 ところで、最初に作った2ELのZLスペシャルのコーナーをご覧になった方、通常のアルミパイプを使用したアンテナに比べ随分とエレメントが短いことに気が付かれましたか。例えば同じような動作をするコメットのCA-52HB(2EL HB9CV)の場合、Ra(副射器)の長さが2.72m、ZLスペシャルではこれが2.50m(300/51MHZ*0.85/2=2.5m)になっています。その差は0.22m(22cm)にもなります。

 これはエレメントに使う部材の短縮率の違いによるものです。コメットのアンテナの場合はアルミパイプを、またZLスペシャルの場合は、ご承知のように300Ωのフィーダー線を使用します。アルミパイプの短縮率を前述のコメットHB9CVアンテナのエレメント長さから逆算すると、2.72m/(300/50.2MHZ/2)=0.91(91%)になります。ただしこれは直径10mmのアルミパイプを使用した場合の短縮率で、パイプの直径が変わると当然短縮率は当然変わると思います。

 一方300Ωのフィーダー線の短縮率はメーカー公表値で0.85(85%)になっています。この短縮率の差で22cmものエレメント長の差が出ています。なお、300Ωフィーダー線の短縮率は、このコーナーで紹介している300Ωフィーダー線の販売元の「オヤイデ電気」さんのページ内で公表されています。

 設置条件その他で、できるだけ小さく作りたい場合、短縮コイル等を入れたりします。これにより確かにアンテナサイズは小さくなりますが、アンテナの性能(フロントゲインや共振帯域等)はベタ落ちということになります。この短縮率0.85(85%)は数値的には同軸ケーブルの0.67(67%)には及びませんが、なかなかの短縮率です。フルサイズのアンテナを作る場合、できるだけ小さく作れればそれに越したことはありません。そういう意味では短縮率の大きな300Ωフィーダー線を使うZLスペシャルの方が有利といえます。

 更に300Ωフィーダー線は構造的に2本の芯線が平行に配置されたフォールデット構造になっています。その昔この300Ωフィーダー線を使ったフォールデットダイポールアンテナは共振帯域が広いことで有名でした。そのようなことからこのフィーダー線を使用したZLスペシャルアンテナも、ご多分にもれず非常に広帯域共振します。広帯域に共振するアンテナはアンテナカプラーを使う頻度が少なくなり、非常に使い勝手のいいアンテナと言えます。

 随分とZLスペシャルを褒めちぎりましたが、1つだけ欠点があります。それは雨に晒されると共振周波数がかなり下がってしまいます。わたしの場合は少し高めの51.2MHZ付近で共振するように作っていますので、雨に濡れても50MHZ付近では問題なく使用可能でした。

 いずれにしても50MHZ帯は片側のエレメント長さが1.5m程度で済むため、多エレメントのアンテナが比較的作りやすいバンドといえます。そのようなことから、もともと前作の2エレで運用するつもりは無く、最低でも3エレで運用を開始したいと思っていました。ということで現在試作中の3エレについてご紹介します。




現在の試作中のエレメントデータ


 ベースになる2エレができあがりましたので、これにエレメントを1本追加するだけで、簡単に3エレ化ができます。そこで毎度お馴染みのMMANAを使って検討してみました。結果は下記の表のようなエレメントデータになりました。

 手っ取り早く2エレのデータはそのまま使用しました。それにDe(導波器)を追加して、Ra(副射器)と導波器(De)の間隔を1.38mにしました。この状態でフロントゲインが最も大きくなるような導波器(De)の長さを探してみました。

 このDeとRa間隔の1.38mは、定尺物として販売されているVP25の2mのものから、Ra(副射器)とRf(反射器)の間隔0.62mを差し引いた値で決めました。DeとRa間の間隔は、MMANAで計算させると1.5m位までは間隔が広い方がフロントゲインが大きくなりました。しかしながらブームの総長を2mで限定しましたので、それに収まる長さということで、1.38mにしています。

 この手法はあまりにも手抜きの極みですが、とりあえず試作品を早く完成させたかったために(※コンディションアップが近いため、すぐに使用できるものが欲しかった)このような方法を取りました。手っ取り早く作り上げたデータですので、フロントゲインやF/B比は、とてもおすすめできる数値にはなっていません。なお2エレで入れていた75Ω:50Ω変換回路は外すのを忘れ入れたままになっています。

 他局の実験結果では、3エレ化することにより給電点のインピーダンスが下がったという報告がされています。このようなことから、75Ω:50Ω変換回路を外した場合はどのような特性になるのか興味があるところです。これについては、次に下した際に変換回路を外して再測定をする予定です。

 De,Ra,Rfの3つのエレメントの長さや間隔を詳細に再検討すると、もう少しフロントゲインやF/B比の良さそうなものができると思います。これについては今後時間が取れましたら再検討する予定です。何はともあれ、とりあえず下記の表のデータで試作してみました。



  300Ωフィダー線の販売サイト オヤイデ電気ホームページ



 上記のエレメントデータの計算結果を下記でリンクさせました。興味がおありの方は下記ファイルをマウスで右クリックし「名前を付けてリンク先を保存」を選択してMAAファイルをダウンロードしてください。ダウンロードしたMAAファイルをMMANAソフトで開くと、当該アンテナの詳細な計算内容を見ることができます。

50MHZ 3EL.MAAのダウンロード

※各写真上をクリックすると拡大写真が見られます。
プラケースに3か所穴を空け
フィーダー線を貫通させる
FT-114-43等に2芯の電線を6回
巻いてソーターバランを作る
ソーターバランをコネクターと
フィーダー線の間に入れる
プラケースに蓋をかけ完成
最後にテープを巻き防水処理




クランプを使わない方法で組立


 エレメントを支持する部材にについては、前作の2エレでは、6mmのダンポールを2本束ねて(※全長2.1mのうち1.3mを片側で使用し、残りの0.7m部分が2本束ね状態になる)作ってみたり、8mmのダンポールのみで試作してみましたが、いずれも湾曲が目立ったため、最終的に塩ビパイプのVP13(内径13mm)とダンポール6mmを組み合わせたもので作り上げていました。(※ダンポールの販売場所については2ELのコーナーで案内しています)

 また、エレメント支持の13mmパイプをブームに取り付ける方法は、手持ちの関係でデベマウントという上等品を使用していました。今回はその部分をブームに使用した25mm塩ビパイプに、直径18mmの穴をあけ13mm塩ビパイプを貫通させました。この方法ですとクランプ類が必要なく安上がりです。2エレもこの方法で作られるといいと思います。またブームと13mmパイプの接着方法はホットボンドを流し込み固定しました。

 この13mm(VP13)塩ビパイプは長さ1mに切り出し、その13mmパイプ内に8mm(長さ3m)のダンポールをそのまま貫通させました。ただ貫通させると隙間ができますので、ダンポールの中央部とその両側の0.5mの位置(合計3か所)にビニールテープを13回ほど巻きパイプ内に丁度収まるように調整しました。

 このようにして作ったエレメント支持パイプを合計3本作り、ブームになる長さ2mの25mm(VP25)塩ビパイプの所定の位置に取り付け支持パイプ部は完成です。あとは300Ωフィーダー線で作ったエレメントを支持パイプにビニールテープで固定してZLスペシャルが完成です。以下、各部分の状態を写真でご紹介します。  

    
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
VP25にVP13が通る大きさ
までリーマーで穴を大きくした
ブームVP25にVP13を差し
込みホットボンドで固定
3mダンポールにテープを巻き
長さ1mの13mmパイプに差込む
エレメント支持パイプ部完成
VP25+VP13+DP8mmの組合せ
下図のフィダー線を塩ビパイプに
ビニールテープで止めて完成
副射器と反射器部分の拡大写真
結構細くてスマート


 なお、ここで使用しているエレメント支持用のダンポール太さ8mm長さ3mの物はパワーコメリで5本セットで1280円で販売されています。パワーコメリは全国展開のホームセンターですので、どの地方でも販売されていると思います。もし販売されていなければ相談すれば取り寄せ可能と思われます。




完成したアンテナのSWR測定結果


 塩ビパイプとダンポールを組み合わせて作ったエレメント支持ユニットと、300Ωのフィーダー線で作ったエレメントを組み合わせて完成したZLスペシャルアンテナに、実際に電波を乗せてSWRを測定しました。測定結果は下記のようになっていました。

 
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
50.005MHZの測定中
SWR=1.05
50.200MHZの測定中
SWR=1.05
50.400MHZの測定中
SWR=1.06
50.600MHZの測定中
SWR=1.06
50.800MHZの測定中
SWR=1.07
51.000MHZの測定中
SWR=1.09
51.600MHZの測定中
SWR=1.15
52.000MHZの測定中
SWR=1.21
52.500MHZの測定中
SWR=1.39
53.0000MHZの測定中
SWR=1.48
53.500MHZの測定中
SWR=1.50
共振周波数は50.614MHZ



 測定結果から見ると、今回もかなり広帯域で反射が少なく「ほんまかいな!」の状態です。原因は定かではありませんが、出力5W程度のローパワーで測定していますので、反射波の力がなく、おまけに75Ω:50Ωの変換回路も入っていますので、それも反射波を減衰させ、見かけ上のSWR値が低く出ているような気がしています。

 今回のようなローパワーでのSWR計を使った測定方法では、正確な値が得られていないのではないかと思い始めました。また、アナライザーBR-200で測定した共振点の周波数(50.614MHZ)を写真で紹介していますが、通常ですと共振周波数付近でSWR値が下がるのが普通だと思うんですが、実測したSWR特性ではそのような兆候が見られません。

 更にこのBR-200(クラニシ)は共振周波数を測定する際に、周波数を可変するダイアル(※バリキャップの電圧可変用ボリューム)の右回りと左回りでディップする周波数にズレがあり、測るたびに100KHZ台で数値が違っていました。このようにつじつまの合わない現象がところどころで発生していました。

 話は変わりますが、現在使用しているトランシーバーのFT-817はSWR値の高いアンテナを接続すると、終段回路保護のため出力を下げるように作られています。上限の54MHZ付近でも通過型パワー計で見る限りパワーを絞り込んでいる様子はありませんので、そういう意味ではバンド内でアンテナカプラーを使用する必要もなく、何とか使えるアンテナであるとも感じています。

 とはいうものの、やはり気になりますし、BR-200のバックラッシュ問題もありましたので、広帯域でSWRが測定できるいい測定器はないかと探してみました。上等なものは5万円くらいするものもあるようですが、今さらそれほど高価な測定器を買う気はありません。

 ちょうどそのような時に別件でAmazonを覗いたときに、「こんなものがありますが、旦那さん買いませんかと」商品案内画面が出てきました。最近は「この人は何を欲しがっているのか」を閲覧実績から判断するシステム構築されているようで、たぶんこれなら買うだろうという商品案内が出てきます。

 その中にアンテナネットワークアナライザーNanoVNA 販売価格5380円というのがありました。なんじゃこりゃ、値段が値段ですのでとても使い物にならない品物だろうと思いました。それでも興味(※見事に敵の戦略にはまっている)がありましたので、更に詳しく調べてみました。結果は、測定可能帯域が50KHZから1500MHZと超広帯域のようです。手持ちのBR-200は170MHZまでしか測れませんので、400MHZ帯や1200MHZ帯にも使用できそうです。そのほかアンテナのSWR測定以外でも、フイルター類の帯域測定や同軸ケーブルの長さの測定等いろいろな測定ができるようです。ということで、値段の割には優れもので試しに使ってみる価値はありそうだという結論になりました。

 この流れから大体の予想はついたと思いますが、アンテナネットワークアナライザーNanoVNA-H4を注文しました。本来のZLスペシャルの話から大きく脱線していますが、もう少しだけこのアナライザーの話を続けますと、Amazonで売られている価格の安いグループのNanoVNAは、販売価格で大きく3つに分かれていました。

 販売価格が5380円のものはサンドイッチ構造の基盤が2枚重ねで作られており、側面にカバーがない構造になっています。次に販売価格が6780円の物は5380円のものを専用ケースに入れた構造になっています。5380円のものと6780円のものはいづれも表示器のサイズが2.8インチです。最後は値段が9980円のものです。これは商品名がNanoVNA-H4と呼ばれているもので、表示器のサイズが4インチで画面が幾分大きくなり見やすいようです。

 いづれの商品も性能に差はなく、ケースに入っているかどうか、画面サイズが2.8インチか4インチかの差で値段の差がついているようです。最近は特に細かいものが見えずらくなっていましたので、大奮発して9980円のNanoVNA-H4を注文しました。

    NanoVNA 5380円のAmazonサイト
    NanoVNA 6780円のAmazonサイト
    NanoVNA-H4のAmazonサイト ※一時期値段が跳ね上がっていましたが、少し落ち着いたようです。


 商品が昨日到着し操作方法等について現在勉強中です。このNanoVNAの使用方法等についてはYouTubeにたくさん上がっていますので、興味がおありの方はYouTubeに入って「NanoVNA」で検索してみてください。

 測定結果が出ました。SWR特性がグラフ形式で表示されますので特性が一目瞭然ですね。結果は予想通りローパワーでSWRを使用した測定結果よりはSWR値が0.2ほど高く表示されています。NanoVNAの方がいかにもそれらしいSWR曲線になっています。画面設定はSWRのみが表示されるようにしています。指定変更すればスミスチャートが画面に一緒に表示されます。

 横軸は周波数でセンター周波数が50MHZで、バンド幅が6MHZ(47MHZ〜53MHZ表示1スケールが1MHZ)に、また縦軸はSWR値が1スケール0.1で表示するように設定しています。従って下から1段目の横線がSWR1.1のライン、一番上段の横線がSWR1.8のラインというような見方になります。また黄色く表示されているマークがマーカーでその位置の周波数が右上の方に、さらにその時のSWR値が画面左上に表示されます。このマーカーの位置は測定器本体の右上部にあるダイアルで左右に移動できます。

※下記写真上をクリックすると拡大して見ることができます。

  


 NanoVNAで表示させた画面にはラクダの背中のコブを逆さまにしたような曲線が出ています。確かに従来使用していたクラニシのアナライザーBR-200で測定した時にも2つのディップ点があることに気が付いていました。改めてこのようにグラフで見るとその様子がはっきり見て取れます。

 何で2つ出るのかですが、ZLスペシャルはRaとRf、2つのフォールデットダイポール(折り返しダイポール)を逆位相(180度ひねる)で接続しています。2つのエレメントが逆位相とはいえ直接接続されていますので、それぞれのフォールデットダイポールの共振周波数が影響していると思われます。このように位相差給電タイプのアンテナ(ZLスペシャルやHB9CV)では2つの共振点が出てくると思われます。(※勝手な推測ですので間違っているかもしれません)

 マーカー位置を移動しながら周波数とその時のSWR値をメモし、上の方で紹介していたSWR曲線に重ねて記入しています。SWR計を使用したもののグラフと比較すると、NanoVNAの方が全体的にSWR値が若干高く表示されています。しかしながら、50.000MHZから51.800MHZ間はSWRがほぼ1.3以内に納まっていますので、まずまずの出来です。SWR値はNanoVNAを使用した曲線の方が正しい数値だと思います。

 また、SWR計での測定時ではアンテナの共振点の50.6MHZ付近でのディップが見られませんでしたが、NanoVNAではほんの少しですがちゃんとディップしていました。この辺はNanoVNAの方が正確にアンテナの特性を表していると感じました。




アンテナの評価


 21MHZ 2ELの下段に設置し回転できるようになりましたので、ローカル局のJA6LPP局に協力していただきアンテナ性能確認を行いました。まずお互いにアンテナを信号が最大に受信できる位置に回転させました。その状態ではシグナルが強すぎましたので、当局側のパワーを落とし最大でJA6LPP局の受信機のSメータの振れが8で測定を開始しました。

 まず21MHZ用の2ELのZLスペシャルアンテナとの比較をしてみました。なぜか21MHZのZLスペシャルに50MHZの電波が乗ります。これは相手局のJA6LPP局も同じで、21MHZが使えるマルチバンドアンテナに50MHZが乗るという話でした。そこでわたしの方が50MHZの電波を21MHZ用の2EL ZLスペシャルに乗せてシグナルリポートをもらいました。

 結果はシグナルリポートはS6ということでした。そこでアンテナを今回作った3ELのZLスペシャルに取り換え再度シグナルリポートをもらうと、S8ということでした。その差は2です。21MHZ用は2ELで50MHZ用は3ELですのでそのエレメント差か、もともと違う周波数で使ったアンテナと、本来の周波数で使用した差なのか定かではありません。

 次にアンテナを回しながらシグナリポートをもらいました。フロントから45度ごとにシグナルリポートをもらいました。結果はフロントでS8、45度回転させたところでS6、90度(サイド)でS5でした。サイド(真横90度)よりバック側は135度までは何とかシグナルが確認できるが、それよりバック側は近隣で発生しているノイズ(大型太陽光発電設備からのノイズか?)に埋もれ、うまく信号が確認できないというリポートでした。

 ということで、大体のイメージは掴めましたが、再度別日に500mほど離れた位置からの信号を受信しながらアンテナを回転させ22.5度ごとのSメーターの指示値をプロットしパターン図を描いてみました。結果は下記のようになっていました。バックが左側にズレているのは隣接する2階屋の影響と思われます。

 過去に21MHZ用の3エレZLスペシャルを作ったときに同じ方法でパターンを描きましたが、その時のアンテナはコン柱の上で地上高12mの位置、しかも360度視界を遮るものがない状態でした。このようなことから比較的きれいなパターン図が得られました。

 ところが、今回は車庫の屋根上で地上高がわずか6mしかなく、しかも南南東方向は軒並み2階屋でアンテナは2階屋より低く、影響がもろに出る環境です。このようなことから、まともなパターン図が取れるはずもありません。とはいうもののフロントとバックの差がないというようなことはなく(※開局当時に自作したZLスペシャルは差がなかった笑)、とりあえずビームアンテナとして、何とか動作しているようです。




75Ω:50Ω変換回路を外して再測定


 長らくお休みをしていました50MHZ 3ELアンテナに関する実験の続きです。前回作業時に75Ω:50Ω変換回路を外し忘れ、付けたまま3ELに改造していました。他局の実験結果では3EL化することで給電点のインピーダンスが下がったという記事を見たことがあります。そのようなことからわざわざ75Ω:50Ω変換回路の必要がないのではと思い、変換回路を外して共振周波数やSWRを再測定してみました。

 結果は下記のようになっていました。SWR計で見る限りでは52MHZ付近までSWRがほぼ1.1でフラットになっています。ただし53MHZを境にSWR値が急激に悪くなっています。一方変換回路を入れたものは53.5MHZまでSWRが1.5以内に収まっています。なお下記写真は1MHZ単位のもののみを上げていますが、実際は100KHZ単位でSWRの測定を行い、その実測値でSWR曲線を描いています。

 この差をどう見るかにもよりますが、結論的には75Ω:50Ω変換回路は必要ないということでしょうか。もしここで紹介した通りに作られた方がおられましたら、一度外してSWRを再測定してみてください。そしてわたしと同じ測定結果が出ましたら、大きな変化もないようなので外された方がいいかもしれません。

 外した75Ω:50Ω変換回路はダイポールアンテナのインピーダンス変換回路として再利用できます。ダイポールアンテナの給電点インピーダンスは約73Ωといわれています。このようなことから50Ω同軸ケーブルで給電する場合は、インピーダンスのずれを合わせるため両エレメントの内度180度を120度位に変更して合わせる等をしています。

 設置する環境で角度を合わせるのが難しい場合は、この変換回路を入れれば角度を変えて合わせる作業が不要になります。もし変換回路を作られていて今回外した場合は、このような使い方もできると思います。

 ところで下の写真で分かるように、50MHZのZLスペシャルは製作当初からブームにわずかなに湾曲がありましたが、この夏の暑さでブームの湾曲が酷くなっています。21MHZの方はステンレス線で吊っていますので湾曲はありませんが、50MHZのZLスペシャルアンテナも、やはり吊り上げる対策が必要と思われます。


 
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
75Ω:50Ω変換回路撤去前 75Ω:50Ω変換回路を撤去
ソーターバランが残っている
50.005MHZの測定中
SWR=1.15
51.000MHZの測定中
SWR=1.10
52.000MHZの測定中
SWR=1.10
53.000MHZの測定中
SWR=1.49
共振周波数を測定すると
700KHZ位上がっていた?
21MHZ ZLスペシャルの
下にセッティング
  

 NanoVNAによる測定も同時に行いましたが、特にお見せするほどの内容ではありませんでしたので、掲載は省略させていただきます。50MHZ3EL ZLスペシャルアンテナは、フロントゲインが7dBd、またF/B比が18dBを目標にエレメントデータ等を色々と変更し計算を繰り返しましたが、目標値に達する結果を得ることができませんでした。

 多エレメントのZLスペシャルは導波器の形態とエレメント径をどのように入力すべきかが判明せず、現状のものは多分これで良いだろうと考えた数値で入力して計算させいます。従ってフロントゲインとFB比の計算結果については正しいものなのか疑問符がつくところです。このようなことから、多エレメントZLスペシャルの検討は一旦中断し、現在普通のIV電線を使用した多エレメント八木アンテナを検討中です。




導波器を外してフロントゲインを確認


 2ELに導波器を一本追加し3ELに改造しましたが、MMANAで計算させた結果ではフロントゲインが5.46dBdとなっています。前作の2ELのゲインが4.42dBdになっていましたので、ゲイン差は計算上わずか1.04dBdしかありません。

 メーカー製アンテナの場合は2ELと3ELのゲイン差は3dBdほどあるようなので、下手に作ってもその差が1dBd程度というのは考えられません。導波器データの入力方法に誤りがあり、計算結果に誤差が出ているのではないかと思われます。

 何とか確認できないかと考え、導波器を外したらどうなるかを試してみました。導波器を外すといっても、エレメントの支持パイプ類は残したまま、300Ωのフィーダー線のみを外せば済みますので超簡単です。また具体的な測定方法は、3ELの状態で事前にSメータの振れを確認しておき、導波器を外した状態でSメーターの振れがどうなったかを確認する方法をとりました。

 毎回アンテナのデータ収集で協力をしてもらっているJA6LPP局に、今回もお付き合いいただきました。まず3EL状態でこちらから電波を出して、JA6LPP局の受信機(FT-817)のSメータの振れを見てもらいました。この時5W出力では9+になり、細かい比較ができませんので、こちらのパワーを0.5Wまで絞るとS5ということでした。なお、当局とJA6LPP局は直線距離で約4Kmくらい離れており、お互いに高台に住んでいるため、見当しが良く途中に障害となるような高い建物等はありません。

 そこで別日に今度は3ELの導波器を外して、同じように0.5W出力で再度シグナルリポートをもらうと、S4ということでした。ちなみにJA6LPP局が受信の際に使用したアンテナは、変更前後とも指向性のないディスコーンアンテナでした。

 ということでSメーターの差は1目盛り(S5→S4)になっていました。メーカー製の受信のSメーター1目盛りを調べてみると各社(ヤエス、アイコム、ケンウッド)とも1目盛りが3dBになっているようです。

 以上のような結果から、導波器を外した時のSメータの差が1目盛りでしたので、2ELと3ELでは3dBdの差があるということになります。パソコンの計算結果では、わずか1dBd程度の差になっていましたが、実際には3dBd程度のゲインアップになっているようです。

 一方F/B比については計算上は11.32dBになっていますが、これについては実測のパター図の通り、フロントの最大がS9、バックの最大がS6になっています。その差はSメーター目盛りで3つになり、1目盛り3dBとして、逆に約9dB程度しかないようです。実際に受信してみてもバックの尻抜けを結構感じました。もっとも3EL程度のアンテナではFB比を問題にする方がおかしく、FB比よりフロントゲイン最大を目指すのが正道だと思います。

 
※各写真上をクリックすると拡大して見ることができます。
エレメント支持用のパイプは残って
いるがエレメントは外しています
外した導波器エレメントの300Ω
フィーダー線、そのうち元に戻します


 ということで、3ELZLスペシャルのフロントゲインはMMANAの計算結果では5.46dBdと記載していますが、実際は2ELのゲイン(約4dBd)+3dBd=約7dBd程度はあるようです。いずれにしても2ELよりはゲインアップになるのは間違いないようです。このようなことから、もし作るならやはり3ELをおすすめします。




エレメントの長さを変更してみた


 前回の更新でFB比があまり良くないが、3EL程度のアンテナではF/B比よりフロントゲインに重点を置くべきだと大見栄を切っていました。そうは言うものの、アンテナを回すとSメーターがスーッと下がるのは気持ちがいいものです。またこれがビームアンテナだと感じる瞬間です。大見栄を切っておいて今更ですが、もう少しF/B比が何とかならないかと思っていました。

 時間が少し取れましたので3ELのZLスペシャルの改造を検討してみました。サンプルのZLスペシャルを使用して計算させた場合、2ELまでは問題ない計算結果が得られました。ところが3ELになってからZLスペシャルとして計算させると思ったような計算結果が得られませんでした。

 そこで改造の検討は同じ位相差給電タイプのHB9CVを使って計算させることにしました。この場合の入力するエレメント直径は、300Ωフィーダー線の2つの芯線間距離が約11mmあるため、直径10mm(半径5mm)と見なして入力しました。実はこの手法は1995年頃に作った21MHZの3EL ZLスペシャルの時にも同じ方法を取っていました。

 当時使用していた計算ソフトはMMPC(JA1WXB松田OM作成)で、ZLスペシャルのサンプルデータがないため、苦し紛れにそのような手法を取っていました。具体的には300Ωフィーダー線の実測した短縮率を適用したRa(副射器)の長さを計算して出します。あとはRaより少し短いDe(導波器)と逆に少し長いRf(反射器)をそれぞれ適当な位置に配置しアンテナの形態を作り上げます。その後はRa(副射器)以外のエレメント長さと各エレメントと間隔をいろいろ変更し、フロントゲインやF/B比が最適になるように計算を繰り返して完成させていました。

 ついでの話ですが、アンテナ計算に関しての基本的な考え方として、間違っているかもしれませんが、わたしは次のように考えています。今、あるアンテナがあり、その諸特性がはっきり出ているとした場合、そのアンテナを別の周波数に設計変更する時には、Ra(副射器)の長さの比を元々のアンテナの各データに掛けて出したデータに変更して計算させると、ベースにしたアンテナとほぼ同じ諸特性が得られる。という考え方です。

 もう少し具体的に補足しますと、いま21MHZのあるアンテナのRa(副射器)の長さが6.36mあったとします。これを50MHZ用のRaの長さ2.5m(300/51.0*0.85/2=2.5m)のものに変更したい場合、エレメント長さ比は2.5/3.63=0.393になります。この0.393を元の21MHZの各エレメント長さと各エレメント間隔に掛けて、50MHZ用のそれぞれの長さを計算して出します。このようにして作り上げたデータで計算させると、21MHZとほぼ同じ性能の50MHZのアンテナが出来上がるという考え方です。

 この計算手法を使うと、メーカーさんが作った優秀なアンテナデータを勝手に使わせていただき、同じような高性能なアンテナを自作することができるはずです。何の手持ちデータもなく行き当たりばったりで作る方法に比べて、効率よく短時間で高性能のいいものができると思われます。

 ところで、エレメントに300Ωフィーダー線を使うZLスペシャルとアルミパイプを使用するHB9CVでは短縮率が大幅に違います。従ってZLスペシャルデータをHB9CVで計算させると、共振周波数が桁違いに高く出てきます。しかしながら完成したアンテナのSWRを測定すると、運用する周波数にちゃんとうまく共振していました。ご承知のようにアンテナは目的周波数に共振してなんぼの世界ですから、測定器で測定してちゃんと目的周波数で共振していれば何ら問題ないはずです。

 その辺がよく理解されていないと、計算結果の共振周波数が違うのでおかしいと思われる方がおられるようです。実際に過去にコンタクトした方からその辺を指摘されたことがあります。遠慮がちに言われましたので、その時には詳しい説明はせずに、SWRは低くうまく吸い込んでいますとだけ説明した記憶があります。

 と前置きが長くなりましたが、3ELのZLスペシャルではうまく計算ができませんので、サンプルのHB9CVを使用して再検討をしてみました。検討結果は下表のようになりました。なお、下表の「現状」はZLスペシャルとして計算、また改造1および改造2はHB9CVとして計算させたため、特にフロントゲインは大きくかけ離れた計算結果になっています。

 これについては、計算結果から見るとZLスペシャルで計算させた方のフロントゲインが5.46dBdになっています。ところが導波器を外して実験した結果から考えると、約7dBd程度はあると思われます。この辺を考慮するとHB9CVで計算させた方はいずれも7dBdを超過しており、こちらの方がより実態に近いと判断されます。  

 

 上記のエレメントデータの計算結果を下記でリンクさせました。興味がおありの方は下記ファイルをマウスで右クリックし「名前を付けてリンク先を保存」を選択してMAAファイルをダウンロードしてください。ダウンロードしたMAAファイルをMMANAソフトで開くと、当該アンテナの詳細な計算内容を見ることができます。

3EL改造1.MAAのダウンロード      3EL改造2.MAAのダウンロード 
  

 実際に改造1および2に改造して電波を乗せてJA6LPP局にシグナルリポートをもらいました。ちなみにSSB波ではピーク値の読み取りが難しいためFM波を使用してのシグナルリポートです。またJA6LPP局の使用アンテナは無指向性のディスコーンアンテナです。測定結果から見ますとフロントゲイン優先するなら現状のもの。F/B比優先なら改造1のものという測定結果になっていました。

 サイドについてはアンテナをフロントに対して左右にちょうど90度回転させた位置でのシグナルリポートを送ってもらいました。右と左のサイドのシグナルリポートが微妙に違っていましたので、いずれか小さい方のSリポート値を記載しています。この左右のズレについては近隣の建物の反射の影響ではないかと思われます。

 またこのサイドの切れについては、実際に私の方でも他局を受信しながらアンテナを回すと、それぞれ左右のサイド付近でシグナルが全く消えてしまう箇所がありました。位相差給電タイプのアンテナはさすがにサイドの切れが抜群のようです。

 バックについては、改造1のバックが0(ゼロ)というのは出来過ぎです。たぶん近隣の建物の影響でバック側のパターンの位置がズレいるのかもしれません。これについてはもう少しアンテナを左右に回転させ、バックの位置を再確認すると違った結果が得られると思います。ということでバックのシグナルリポートは参考値ということでご理解ください。ただし、わたしの方でも実際に他局の信号を受信しながらアンテナを回すと、バック側は結構信号強度が下がっていました。このようなことから「現状」に比べて明らかに尻抜けが少ないことを確認しています。

 また改造1および改造2のSWR値は、実際にSWR計を入れて測定した結果、大体1.3くらいでフラットになっていました。できるだけF/B比がいいものが欲しいと思われる方は、最初から改造1のデータで作られる方がいいかもしれません。ちなみに、わたしはゲイン優先の「現状」に戻して運用しています。ということでこの3ELのZLスペシャルのコーナーは、いろいろ実験をして遊びましたが、今回が最終の更新になります。わたしの実験結果が各局の参考になれば幸いです。



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