MMANAでZLスペシャルを計算させる


(最終更新 2022.03.18)

 現在使用中のZLスペシャルは1988年に最初の2ELを作り、5年後の1993年に3ELに改造しました。それ以降一時的に降ろしている期間もありましたが、壊れるたびに修理を繰り返し、かれこれ33年にわたり使い続けています。

 特にZLスペシャルにこだわっている訳ではありませんが、九州の田舎では通常のアンテナエレメントに使用するアルミパイプの入手は困難です。もしネット販売等で購入できたとしても、送料も含めると結構なお値段になります。このようなことから自作にこだわらなければ、アルミパイプを使用した通常のメーカー品を購入した方が安上がりという結果になります。

 その点このZLスペシャルアンテナはエレメントとして使用する300オームのフィーダー線は、その昔はあちこちの量販店で比較的安価で販売されていました。また同じく使用するグラスファイバー製釣り竿も、特売品は1本1000円以下で購入できました。更にフロントゲインが通常の2EL八木アンテナより0.5dBほど高いことや、同調する帯域が広いことなどが、お気に入りの理由になります。   

 何より自作にこだわる当局にとって、条件がピッタリ合ったといえます。このようなことから、いまだにZLスペシャルを自作し使っています。また2013年に現在使用中のMMANAソフトを入手後、このMMANAの中に入っている14MHZ用ZLスペシャルのサンプルデータを21MHZ用に見直して計算させ、その計算結果を基に制作を続けています。

 特にここのところ、MMANAで21MHZ以外のZLスペシャルの計算を繰り返していましたので、だんだん要領が良くなってきました。せっかく身についた要領を独り占めするのも、もったいないと思い皆さんにご紹介することにします。

 ただしソフト自体の使用方法を熟知している訳ではありません。そのようなことから、説明が要領を得なかったり、そもそもの理解が間違っているため、誤った説明をする可能性があります。以上の言い訳をご理解いただける方は引き続きご覧ください。




MMANAソフトのダウンロードと起動方法


 内容を理解していただくために、実際にMMANAを起動して実画面を見ていただく方が早いかもしれません。まずMMANAソフトのダウンロードからご紹介させていただきます。MMANAソフトは下記のサイトからダウンロードしてください。

MMANAソフト(MMANA for Windows Ver1.77)のダウンロードサイト
JE3HHT森OMのホームページ


 MMANAソフトをダウンロードしてソフトを起動させるまでの手順を下記でご紹介します。手順を順に実行していただくとMMANAソフトの起動ができると思います。アンテナを実際に作るかどうかは別として、ソフトの中に入っている色々なアンテナのサンプルMAAファイルを起動させ、そのアンテナのシュミレーションを実行してみてください。


※各画像上をクリックすると拡大して見ることができます。
@MMANA for windowsをクリック ADownLoadMMANA Ver1.77 For
windows95/98をクリック
B実行をクリックする COKをクリックする
DMMANA.EXEを右クリックする Eスタートメニューにピン留め
するをクリック
Fスタートメニューを開くと
MMANAアイコンができている
GスタートメニューのMMANAをクリックし
起動後「ファイル」「開く」を順にクリック
H画面上のANTをクリックすると
サンプルのMAAファイルが展開
I見たいMAAファイルを選択後
開くをクリックする
J見たいMAAファイルのアンテナ定義
形状、計算、パターンの選択画面が出る
K計算を選択し画面上の計算をクリック
すると計算結果が出てくる




MMANAソフトを使ったアンテナ計算方法


 ここで実際の計算方法をご紹介するつもりでしたが、「MMANAの使い方」で検索したところ、たくさんの説明ページが見つかりました。内容を十分理解していない当局の下手な説明より、分かりやすく解説されているサイトがありましたので、下記で勝手にリンクさせていただきました。(※早い話が手抜きです)


アンテナ解析ソフトMMANAを使ってみよう
JA1UKF局の説明ファイル

アンテナ解析ソフトMMANAを使ってみよう(その2)
JA1UKF局の説明ファイル(その2)

MMANAのやさしい使用法
JA6ECD局の説明ファイル

「MMANAの使い方」で検索した結果
「MMANAの使い方」の検索結果


 最初のJA1UKF局の説明で初歩的な操作はできると思います。また(その2)では最適化の自動計算方法について解説があります。次のJA6ECD局は、50MHZ用のダイポールアンテナから2EL、3EL八木、そのインピーダンスマッチング等、幅広く説明されています。興味がおありの方は、実際にMMANAソフトを起動させ各動作をご確認ください。




MMANAを使ってZLスペシャルを計算させる


 過去に「MMANAの使い方」で検索した際に、ZLスペシャルに関するものは見つかりませんでした。あまりメジャーなアンテナではないため当然の結果かもしれません。

 通常の2EL八木ですとアンテナ定義ファイル上は、たった2行の記載だけですが、2ELのZLスペシャルでは17行必要になります。何でそんなに必要なのと思われるかもしれませんが、実際は17行分のデータ入力が必要になります。

 ここで実際に2ELZLスペシャルのMAAファイルを開いていただき、定義ファイルを覗いてみてください。ついでに「計算」に移動し「計算」をクリックし計算結果も見てください。また計算後はビームパターンを見ることができます。パターンをクリックしてパターン図を見てください。

 ファイルのダウンロードは、下記アイコンをマウスで右クリックし、出てきた「名前を付けてリンクを保存」を選択し適当なフォルダー(※ディスクトップ等)にダウンロードしてください。MMANAソフトを一度でも起動させたことがあれば、ダウンロードしたMAAファイルをダブルクリックするとMMANAソフトが起動しアンテナ定義等を見ることができます。

21MHZ用ZLスペシャル 21.MAAのダウンロード


 さてこれからが本題になります。MMANAでは、前述のように通常の2EL八木ではRa(放射器)とRf(反射器)の2つのエレメントを、X軸(RaとRf間の距離)とY軸(各エレメント長さ)にポイントを落とし、アンテナの形状を構成します。このため、通常の2EL八木アンテナ定義ファイル上はNO1行(Ra)とNO2行(Rf)の2行の記載しか必要ありません。

 一方、ZLスペシャルアンテナでは、Ra、Rfともエレメントが2本の平行導体で構成されています。またRaとRfとの間を逆に接続(180度ひねって接続)するエレメントもあります。これ等をすべてX軸とY軸で表現していくと、結局アンテナ定義上では17行が必要になります。

 ここでアンテナ定義上の@〜PのエレメントNO(ナンバー)と実際のアンテナエレメントの位置関係を図面化すると下図のようになります。実際に上記リンクの21.MMAファイルを開き、その中のアンテナ定義ファイル上に各数値がどのように反映されているかをご確認ください。



 例として下記の定義ファイルで説明すると、NO4行をご覧ください。Cエレメントは基準となる@エレメント(X軸=0)とAエレメント(X軸=0)からX軸方向にそれぞれ+0.03m離れた位置にある。またエレメントの左端はY軸方向の-3.22mに、また右端は+3.22mにそれぞれ位置している。という記述をしています。以上のような方法でそれぞれのエレメントの位置を定義ファイル上に記述します。


 上記のエレメント番号対応図とアンテナ定義ファイルを見比べて、アンテナ定義上にどのように入力するかが分かっていただけたでしょうか。ちなみに3ELのZLでは、更に4行増えて合計21行の記入が必要になります。この3ELZLスペシャルアンテナについては後日別項でご紹介する予定です。




エレメント長さを変更する場合のデータ変更箇所


 エレメント長さを変更する場合のデータ変更箇所を見つけることは難しそうに見えますが、エレメント対応図を見て判断すると、比較的簡単に見つけることができます。例えばRaの長さを6.44mから6.5mに変更する場合を考えると、@ABCDの各行に登録されている3.22を3.25に変更すれば完了します。この場合、数値前の+−は変更せず数値のみを変更します。また数値の変更入力後は必ずエンターキーを押して入力を確定させてください。これを忘れると入力した数値が変更前に戻ってしまいます。

 Rfが変更になる場合も同じ要領でEFGHIに登録されている3.285を変更後の数値(変更後エレメント長さ÷2)に変更すれば作業完了です。一方変更箇所が一番多いのはRaとRf間の距離(S)が変更になる時です。この場合は@ABCDP以外のデータを全て書き替える必要があります。わたしはこの作業をする際は対応図のようなものを作っています。この対応図には変更前の数値と変更後の数値を併記しています。その対応図を見ながら書き替え作業を行うと作業がスムーズに進みます。

 更に一連のデータの書替が終了した時点でアンテナ形状アイコンをクリックし、アンテナ全体がいびつな形状になっていないかを確認してください。もし数値の入力を誤ったり、前述のエンターキーを押すのを忘れた場合などは、下図例のようにアンテナ形状が変になっています。このような場合は入力値の再確認が必要なことが分かります。




他の周波数のZLスペシャルのエレメント寸法の決め方


 作ったZLスペシャルの共振周波数がズレていたり、別のバンドの物が作りたい場合はエレメントの長さの変更が必要になります。今回も別項で色々な周波数のZLスペシャルをご紹介していますが、これ等の各エレメントの長さをどのようにして決めたのかを説明します。

 わたしは別のバンドのもののエレメント長さを決める方法として、次のような方法で算出しています。まずベースとなるアンテナを決めて、そのアンテナの各エレメントデータに周波数比(仮称)を乗じて新しいエレメントデータを出しています。

 もう少し具体的にいうと、ベースとなるアンテナは21MHZ2ELZLスペシャルを使用します。この基準となるアンテナはフロントゲインやFB比が優れているものが必要です。なぜならベースとなるアンテナの諸特性(フロントゲインやFB比)をそっくりそのまま引き継ぐからです。

 この周波数比は次の方法で算出します。例えば28.200MHZ用のZLスペシャルを作りたい場合は(ベースとなる21MHZアンテナの共振周波数)÷(作りたいアンテナの共振周波数)=21.166/28.2=0.75 この0.75に21MHZアンテナのそれぞれのエレメント長さを乗じて出します。

 求める28.2MHZ用の長さは、Ra=0.75×6.5=4.88m、Rf=0.75×6.64=4.99m、S=0.75×1.59=1.19m 以上のような計算結果になります。この方法が正しいかどうか分かりませんが、わたしはこの計算方法で算出したデータをもとに試作しています。

 計算結果では、アンテナのフロントゲインやFB比は、ベースにした21MHZ用ZLスペシャルとほぼ同じような結果が得られています。過去にRaとRfを取り違えて作った際に、FB比が見事に計算結果と合致した経験があります。そういう意味では、このMMANAの計算結果は非常に信憑性があると私は思っています。

 エレメントの長さを適当に決め、うまく動作せず四苦八苦した過去に比べ、随分と作業が楽になりました。あとはこの計算結果をもとに実際に作り上げ、共振周波数を測定し、もしズレがあればエレメント長さの微調整をすれば完成することになります。


 この方法は、出来上がったアンテナの共振周波数が高すぎたり、また低すぎたりした時にエレメントの長さを変更する場合にも利用しています。この場合も同じ考え方で(変更前周波数)÷(変更後周波数)=周波数比を求め、この周波数比に変更前の各エレメント長さを乗じて、エレメントを何センチ延ばす(または縮める)かを算出しています。

 例えば完成したアンテナのRaエレメント長さが6.6mで共振周波数が20.995MHZであったとします。これを21.200MHZで共振するようにしたい場合は、20.995/21.2=0.990、この0.990にそれぞれのエレメント長さを乗じます。変更後Ra=0.990×6.6=6.534m、つまり6.6mを6.534mに切り縮めるという結果になります。この場合RfやSも同じ方法で算出し、同時に切り縮めが必要なことは、いうまでもないことです。

 以上、ここでご紹介した計算方法を参考にして、このホームページで記載していない別の周波数のZLスペシャルアンテナを計算してみてください。算出したエレメントデータをMMANAで計算させ、自分だけのZLスペシャルアンテナをぜひ完成させてください。



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