2エレZLスペシャルアンテナの修理に伴う再設計(最終報告)

ZLスペシャルアンテナの修理に伴う再設計(最終報告)

(最終更新 2021.09.29)


 昨年(2020年)秋に超大型の台風9号(最低気圧935hPa)と台風10号(最低気圧910hPa)が立て続けに長崎県沖を北上しました。2013年に修理後7年が経過していたこともあり、この超大型台風の強風により、クロス八木のような格好になってしまいました。

 グラスファイバー製釣竿を使用したZLスペシャルは、見かけによらず頑丈で、強風時にもまさに「柳に風」状態で、大きく撓ってもすぐに復元していました。今回もグラスファイバー製の釣竿は折れることはありませんでしたが、立て続けに超大型台風の強風に晒されたことにより、ブームは異常なかったんですが、釣竿部分を固定するクランプが緩んでしまったようです。

 不恰好な姿を晒した状態で放置していましたが、いずれは下ろさなくてはと思っていました。気候も安定した今年の4月末に重い腰をやっと上げ、長年愛用のZLスペシャルアンテナを柱上から撤去しました。

 体力的にもコン柱に登るのも今回で限界と考え、ついでに柱上に設置していた同軸ケーブルやローテーターも含めて全てを撤去し、ワイヤー系アンテナの上げ下げができるように、ナイロンロープを通した滑車2個だけは残しました。

 撤去作業が終了した時点で、ふと思い出しましたが、そういえば「ZLスペシャルアンテナの修理に伴う再設計(途中経過)(最終更新2013年10月31日)」のその後の経過報告をしていませんでした。途中報告の本文の最終行で「共振周波数が大幅にずれていたりで、その後の作業も一筋縄ではいきませんでした」と述べていた通り、簡単にはいかなかったように記憶しています。この2013年ごろからはコンディションが下がり始めたこともあり、旅行に頻繁に出かけるようになり、アマチュア無線関係は全く手付かずの状態になりました。

 あれから8年、今回撤去したので「この件はこれでお終い」では、無責任過ぎるような気がします。さらに現在はコロナ禍で旅行に出かけることもありませんので、引き続き、ある程度の結論が出るまで作業を続けることにしました。結論がでるまでかなりの試行錯誤があると思われますので、少しづつ判明した事柄を整理して掲載していく予定です。ただし予定は未定であり確定ではない。最後まで続けられるといいんですが、何せ約8年間も報告を放ったらかした輝かしい実績がありますので、果たしてどうなりますことやら・・・・・・。




超大型台風の連続通過でアンテナが変形した


 判明した事実等を順次ご報告するスタイルになりますので、興味がおありの方は気長にお付き合いください。

※各写真上をクリックすると拡大写真が見られます。
台風9号最低気圧935hPaの
超大型台風が通過
台風10号最低気圧910hPaの
超大型台風が続けて通過
超大型台風2連発により
クロス八木のように変形
ブーム部分は異常ありませんでしたが
エレメント部分がクロス八木状態に
柱上に設置したローテーター等は
2個の滑車を除いて全て撤去しました
残ったのは3.5/7MHZダイポールアンテナと
7/21MHZダイポールアンテナだけです




下ろしたZLスペシャルアンテナの再測定


 下ろしたZLスペシャルのクランプを締め直し正常な形にした後、各エレメント長さと共振周波数をアンテナアナライザーで測定しました。測定結果は下記のようになりました。

※各写真上をクリックすると拡大写真が見られます。
エレメント寸法はRa=6.26m Rf=6.40m
RaとRf間の間隔=1.59m
脚立に金属パイプを縛りつけて
パイプにアンテナを取り付け測定
共振周波数は21.884MHZでした
接続は長さ8cmの自作コネクターを使用
地上高は約1.6m位で測定しました。
ちょっと低すぎかもしれません
長さ72cmの接続ケーブルを使用して測定
共振周波数が68KHZ低く出ました
接続ケーブル、左から長さ8cm、50cm、72cm、
4.5m、測定値は微妙に差が出ていました




実測共振周波数と計算共振周波数との比較


 下ろしたZLスペシャルアンテナをアンテナアナライザーで測定した共振周波数と、アンテナ計算ソフトMMANAが算出した共振周波数の差について整理すると、結果は下記の表のようになっていました。

 MMANAの計算結果の方が、約900KHZほど低くなっています。アンテナ計算ソフトの使用方法に精通している訳でもなく、ましてやソフトの中身が解析できる実力もありません。とりあえず、理解できる範囲内でデータ入力に間違いがないか調べることにしました。




アンテナ計算に使用したZL20mの各種寸法


 アンテナ計算ソフトMMANAでZLスペシャルアンテナを計算させる際に使用したのが、MMANAのANTフォルダー内に収納されているZL20mMAAファイルです。このファイルは14MHZバンドのZLスペシャルアンテナを計算させたものです。このMAAファイルをMMANAソフトで開くと下図のような各種データを見ることができます。


アンテナ計算MMANA(MMANA for Windows Ver1.77)のダウンロードサイト
JE3HHT森OMのホームページ

MMANAソフトに入っているZL20.MAAのダウンロード

 (※ファイルのダウンロードは、上記アイコンをマウスで右クリックし、出てきた「対象をファイルに保存」を選択し適当なフォルダーにダウンロードしてください)




21MHZ用ZLスペシャルに見直し後の各種寸法


 MMANAのサンプルデータZL20m(14MHZ)用の各種データをベースにし、それを15m(21MHZ)用に見直して計算させました。その際にW1=0.105mとW2=0.07mおよびW3=0.105m(※赤い文字色で表示されたもの)は変更せずにそのまま使用しました。残りの W4、W5、Ra、Rf、S については、21MHZ用に見直した長さに変更した値で計算させています。変更後の各種長さは下図のとおりです。



 計算結果は、共振周波数が20.969MHZになっており、実測共振周波数21.884MHZと約900KHZほどズレていました。実測の際の地上高さが約1.6mと低いのが原因かと考えましたが、実測周波数の方が高いので、地上高の影響は考えらません。(※通常は地上高を上げるとアンテナの共振周波数が上がる)

 また測定の際に、身体がアンテナエレメントに近すぎて、その分の影響が出たのかもしれませんが、これももし影響したのなら実測周波数の方が低くなると考えられるため原因ではないのではと思われました。

 あとは、使用したアンテナアナライザーのクラニシのBR-210は、各周波数バンドの幅が広く共振点のディップを取るのがかなり難しいと感じました。特に100KHZ台以下の周波数がパラパラとめまぐるしく変化します。周波数調整用のツマミもバックラッシュがあり、ディップ点を見つけるのに何度も測定の繰り返しが必要でした。(※大体これ位だろうという値で決めました)

 ということで100KHZ台の共振周波数は、これで間違いないという自信がありませんが、ほかに上手い方法が見つかりませんので、これで良しとして話を進めます。リメイクしたZL15m.MAAファイルに興味がおあり方は下記のリンクからダウンロードしてください。

21MHZ用にリメイクしたZL15m.MAA(1.MAA)のダウンロード

 (※ファイルのダウンロードは、上記アイコンをマウスで右クリックし、出てきた「対象をファイルに保存」を選択し適当なフォルダーにダウンロードしてください)




計算値と実測値の差を解消する方法を検討


 前述のようにMMANAの使用方法について精通している訳ではありません。前項の各寸法図のW1(フィーダー幅?)の数値を変更するとどうなるのかなと思いつき、さっそく試してみました。W1、W2、W3の値を原典0.105m(10.5cm)から0.07m(7cm)、.0.05m(5cm)、0.03m(3cm)、0.02m(2cm)、0.01m(1cm)と順に少なくし共振周波数の変化を確認してみました。結果は下の表のようになりました。

 W1、W2、W3が0.03m(3cm)の時の計算共振周波数が21.710MHZになり、実測した共振周波数21.884MHZとの差が0.174MHZになります。またW1、W2、W3が0.02m(2cm)の時の計算共振周波数が21.906MHZになり、実測した共振周波数21.884MHZとの差が0.022MHZということになりました。このことからフィーダー幅の設定が0.03mまたは0.02mの時が計算値と実測値の誤差が少ないという結果になります。この方法でいいのかどうかは分かりませんが、一応この結果をもとに作業を進めます。


 ということで、今後はW1、W2、W3を0.03m(3cm)、または0.02m(2cm)に設定したものを使って計算させるとうまくいきそうです。ちなみに0,03mと0.02mを使用して再計算させた時の各寸法は下図のようになりました。

フィーダー幅を0.03mに見直し後のZL15m.MAA(2.MAA)のダウンロード

フィーダー幅を0.02mに見直し後のZL15m2.MAA(3.MAA)のダウンロード

 (※ファイルのダウンロードは、上記アイコンをマウスで右クリックし、出てきた「対象をファイルに保存」を選択し適当なフォルダーにダウンロードしてください)




現用アンテナの共振周波数を下げるための検討


 うまくいくかどうか分かりませんが、とりあえず一定の方向性が決まりましたので、新しい計算方法で現用ZLスペシャルを改造してみることにしました。現用ZLスペシャルは実測で共振周波数が21.884MHZ(21.724MHZ)になっています。共振周波数を約700KHZほど下げるということで検討します。

 共振周波数を下げるためにはRaの長さを長くする必要があります。それに併せてRfの長さも変更する必要があります。ここで余談ですが、RaとRfの長さの関係を色々変えて計算させているうち、RF/Raの比が1.022位がフロントゲインやFB比が丁度いいようです。ということで検討した結果が下記の表のようになりました。



 試作4のデータがちょうど良さそうですので、このデータに改造してみます。現用品がRa=6.26m、Rf=6.40mです。また試作4はRa=6.5m、Rf=6.64mですので、Ra.Rfとも0.24m(片側でそれぞれ0.12m)づつエレメントを継ぎ足す必要があります。改造後共振周波数を再測定し計算値と実測値がどうなっているかの確認をします。

試作3のMAA(4.MAA)のダウンロード(エレメント幅0.03m)

 (※ファイルのダウンロードは、上記アイコンをマウスで右クリックし、出てきた「対象をファイルに保存」を選択し適当なフォルダーにダウンロードしてください)




現用アンテナを試作4のデータに改造


 計算データに基ずき、片側を短絡した長さ12cmの短い300オームフィダーを作成し、Ra,Rfのそれぞれのフィーダー端末にハンダ付けしました。この接続作業の途中で気がつきましたが、このエレメント継ぎ足しには過去の痕跡がありました。長さ4cmのフィーダーが既に4箇所に追加されていました。

 8年前の改造時に共振周波数が高かったため、共振周波数を下げるためエレメントをそれぞれ4cm延長していたようです。昨日のことも忘れる当局ですので、8年も前の出来事を覚えている訳も無く、証拠が残っていますので、多分そのようにしたのではないかと思われます。以下各作業状態等を写真でご紹介します。


※各写真上をクリックすると拡大写真が見られます。
片側を短絡した長さ12cmの
フィーダーを4本作りました
RaおよびRfの各端末に長さ12cmの
延長フィーダーを接続します
今回接続の4cm手前に過去の
接続跡が見つかりました
接続部をテーピングしグラスファイバー
釣竿にビニールテープ止めします
前回と同じく高さ1,6mで共振周波数を
測定しました
最終的に高さ4mまで上げて
共振周波数を測定しました




改造後の共振周波数の実測結果


 計算データに基ずき、RaおよびRfの長さをそれぞれ0.24m延長の改造後、共振周波数を測定しました。結果は下記のようになりました。ピッタリ一致という結果ではありませんが、”当たらずとも遠からず”という感じでしょうか。

 特に長さ4.5mの接続ケーブルを使用した測定結果は、残りの測定結果に比べ、約150KHZほど高くなっています。これは4.5mの同軸ケーブルに、波が乗ったための影響かもしれません。または短いケーブルの場合は、身体がアンテナエレメントに近づきすぎ、その影響で共振周波数が下がったのかもしれません。

 はっきりした原因が掴めませんが、いづれにしても21MHZのバンド内(21.000〜21.450MHZ間)に共振周波数が入っているようなので、これで良しとします。



 最終形態の各エレメント長さ、フロントゲイン、FB比、SWRは下図のようになりました。

試作4のMAA(5.MAA)のダウンロード(エレメント幅0.02m)

 (※ファイルのダウンロードは、上記アイコンをマウスで右クリックし、出てきた「対象をファイルに保存」を選択し適当なフォルダーにダウンロードしてください)


 結論的にはエレメント幅を0.02mに設定し計算させると、計算値と実測値がほぼ合うようです。ただし別の周波数で自作する時に、今回のような結果になるのかは不明です。しかしながら、何のデータも無しにカットアンドトライの繰り返しでアンテナを作るよりは、遥かに作業の手間が省けると思います。

 一応以上で終了とする予定でしたが、わたしの勘違いで予想外の事態が発生しました。何が問題だったのかを以降で説明します。長々としたページになりますが、もう少しお付き合いください。




ZLスペシャルを車庫の屋根上に上げました


 雨のためしばらく作業が中断になると思われます。作業再開までの間アンテナを家の横壁に立てかけていますが、これが結構邪魔になります。何より再使用予定の釣竿を足で踏みつけそうになります。

 明日から天候が下り坂になるという予報でしたので、本日中(7月1日)にZLスペシャルを車庫の上に上げてみるかと思い立ちました。車庫の屋根の上には太陽光温水器が乗っています。その架台に長4mの金属パイプを取り付け、 そのパイプの先端に気象衛星信号受信用のQFHアンテナを上げていました。

 考えて見ますと、このZLスペシャルも現在の形で諸々のデータを取った後は、各周波数のバンドのサイズに切り刻まれる過酷な運命が待っています。せめてもう一花咲かせてあげてもいいのではないかと思い、車庫の屋根の上に上げることにしました。

 さっそくQFHアンテナを別の場所に移設し、残った金属パイプの先端にZLスペシャルを取り付けました。設置後のアンテナの地上高を測ってみると約6mありました。せっかく上げましたので、つでにパワーを乗せてアンテナのSWRとアナライザーで共振周波数を再測定しました。測定結果は下記のデータのようになっていました。


※各写真上をクリックすると拡大写真が見られます。
右のコン柱に上げていた時の地上高は12m
車庫上では6m、半分の高さになりました。
このZLスペシャルの最後の雄姿です
このあと切り刻まれる運命が待っています。
当初は太陽光温水器の架台にパイプを
縛りつけ固定で使用していました。
せっかくのビームアンテナですので
ローテーターを取付回転させています
実際にパワーを乗せてSWRを測定
バンド内はSWR=1.3以内に収まっていた
21.200MHZ時のSWR値
SWR=1.1
SWR計の動作確認のためアンテナ線を
外すと無限大を表示、SWR計異常なし
アンテナアナライザーで共振周波数を
測定した。共振周波数は21.129MHZ
ZLスペシャルには強制バランと75オーム
50オームマッチングトランスを使用


 予想以上に反射が少なく、測定した本人も驚いています。アンテナのSWR測定は、アンテナ直近で測定器とアンテナの接続ケーブルは極力短いものを使って測定するのが原則です。測定器との接続ケーブルに長いものを使うと、接続ケーブルに波が乗り、測定値に誤差が生じる可能性があります。長い接続ケーブルを使用したい場合は、使用する同軸ケブルの長さを(1/2波長X短縮率(0.67)X整数倍の長さ)に調整したものを使用すると、正しいSWR値が測定できるといわれています。

 そういう意味で、今回の測定では長さ調整していない約15mくらいの同軸ケーブルを経由して、しかも自宅内での測定結果です。従って測定値が真値でない可能性があります。またZLスペシャルのインピーダンスは約90オームといわれています。そのようなことから、わたしは強制バランおよび75オーム50オームの変換回路をアンテナと同軸ケーブルの間に入れています。バランもインピーダンス変換回路も入れないと、低SWRは得られないと思ってください。

 以上のような理由から、SWR値については同じ結果が得られない可能性があることを、予めお断りしておきます。何の自作でも同じですが、うまくいかなかった時に何とか苦労しながら完成させるのが、自作の醍醐味だとわたしは思っています。




フロントとバックの差がほとんどない!!


 太陽光温水器の架台に金属パイプを縛りつけ、そのパイプの先端にZLスペシャルを取り付けて運用していました。しばらくは固定した状態で運用していましたが、一応ビームアンテナですので、アンテナが回転できるようにローテーターを設置しました。

 回転できるようになって気がついたんですが、Sメーターのフロントとバックの差がほとんど見られません。そういえば最初に固定で使用した時にアンテナの向きが北東方向(1エリア向き)なのに、南に位置する沖縄の竹富島の局が結構強く入感していました。

 最初はコンディションの関係だろうと考えていました。ところが、あちこちのシグナルを受信しているうち、ひょっとしたらアンテナのビームが逆ではないかと思い始めました。しかし、アンテナのフロントとバックの差がほとんど感じられないため、間違いなくそうだという結論はなかなか出せませんでした。

 改めてアンテナを地上から注意深く眺めて、やっと気がつきました。本人はRa(輻射器)とRf(反射器)の組み合わさったアンテナと思い込んでいましたが、実はDe(導波器)とRa(輻射器)の組み合わさったアンテナになっていました。

 となればビーム方向が逆になって当たり前です。しかしフロントとバックの差がほとんど感じられないのはなぜなのか?これについては新しいデータで再計算させてみて、なるほどと納得しました。

 下図はRa(輻射器)を6.64m、De(導波器)を6.5mとして再計算させた結果です。F/B比は3,21dB、見事に現状と一致しています。恐らくこのようなアンテナ特性になっていると思われます。いやー驚きました。これではフロントとバックの差が分からないはずです。それにしてもちゃんと計算でこのような結果が出てくるんですね。今回のことで、このソフトのすばらしさを再認識しました。



 ところで、なぜ今回のような勘違いを起こしたのかを考えてみました。原因は8年前のアンテナ改造時に反射器タイプから導波器タイプに変更していました。そのことをすっかり忘れて、今回下ろしたZLスペシャルのエレメント長さを測定した際、短いほう(6.26m)が輻射器、長いほう(6.4m)が反射器と思い込み、その後の作業を続けていました。

 ということで、この前項で紹介しているSWR値等は、Ra(輻射器)6.64m、De(導波器)6.5mのデータです。この状態ではフロントゲインはともかく、F/B比はお粗末すぎます。そのようなことから、Ra(輻射器)6.5m、Re(反射器)6.64mに再改造することにしました。

上記の導波器タイプのMAA(12.MAA)のダウンロード

 (※ファイルのダウンロードは、上記アイコンをマウスで右クリックし、出てきた「対象をファイルに保存」を選択し適当なフォルダーにダウンロードしてください)




De(導波器)タイプからRf(反射器)タイプに改造


 わたしの勘違いで、De(導波器)タイプとして動作していたZLスペシャルを、Rf(反射器)タイプに再改造しました。信号を受信した感じではフロントとバックの信号強度差やサイドの切れは導波器タイプに比べ大きく改善されていました。

 本日偶然ローカル局のJA6DWO局とお会いできましたので、電波を出しながらアンテナを回転させシグナルリポートを送ってもらいました。フロントではSメータが9ちょうど。バックでは同じくSメータが3、サイドではほとんど信号が聞こえなくなり、同じ周波数を使用している国内局にわたしの信号がかき消されていたとのリポートでした。

 これについては、ほかの国内局を受信した時とほぼ同じような感じでした。ここでもアンテナ計算ソフトのすばらしさが立証されたといえます。ちなみにRa(輻射器)を6.5m、Rf(反射器)を6.64mとした場合のMMANAが計算した結果は下図の通りです。 、



 導波器タイプの計算結果に比べ、パターン図が大きく変わっており、一応ビームアンテナとしての形になっています。以下改造作業状態とSWRの測定結果を下記でご紹介します。前項で紹介しているSWR測定結果は、De(導波器)タイプのものの測定結果で、今となっては削除してもと考えましたが、比較の意味で残しておきます。

 給電点を6.64m側から6.5m側に変更したことで、共振周波数が約250KHZほど上がっていますが、アンテナとしての機能は大幅に改善されているのが見て取れます。21MHZ以外のZLについては、現在酷暑のために作業が中断していますが、実験してみたいとお思いの方は、提示のデータで作ってもらってもいいかもしれません。

※各写真上をクリックすると拡大写真が見られます。
6.5mと6.64mのエレメントに
継ぎ足すフィーダー線4本
過去に延長していた4cm分ごと取り外し
新たに作成したものと取替えました
撤去した過去の延長フィーダー線です。
昔の延長分4cmも含んでいます。
共振周波数を測定すると
21.382MHZになっていました。
実際にパワーを乗せてSWRを測定
バンド内はSWR=1.3以内に収まっていた
21.005MHZ時のSWR値
SWR=1.1
21.050MHZ時のSWR値
SWR=1.1
21.100MHZ時のSWR値
SWR=1.1
21.150MHZ時のSWR値
SWR=1.1
21.200MHZ時のSWR値
SWR=1.1
21.250MHZ時のSWR値
SWR=1.18
21.300MHZ時のSWR値
SWR=1.2
21.350MHZ時のSWR値
SWR=1.28
21.400MHZ時のSWR値
SWR=1.3
21.445MHZ時のSWR値
SWR=1.3


 以上で「2エレZLスペシャルアンテナの修理に伴う再設計(最終報告)」は終了します。改造前のものは、実際に使用してFB比が悪くなければ、前説のSWR測定結果で終了のつもりでしたが、思わぬ落とし穴で再々改造をする羽目にになりました。しかしながら、結果オーライでMMANAのすばらしさを確認できました。何よりZLスペシャルの高性能化(ちょっと大げさか?)ができましたので、めでたしめでたしでした。

 今後の予定は今回のZLスペシャルを、21MHZ用から→24MHZ用→28MHZ用→50MHZ用→90MHZ用(FMラジオ帯)とエレメントがより短くて済む各周波数用に次々と改造し、都度それぞれ計算結果と実測結果が合うか試してみるかと考えています。ただし夏が近づき気温が高くなって来ましたので、計画倒れになるかもしれません。



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