ローカル局から ”部品取りにでも使ったら” ということで、144MHZ用FMハンディトランシーバー(トリオTRー2200)を譲ってもらいました。ハンディー用といっても何せ古いトランシーバーですので、サイズは現在のように手のひらサイズではなく大きくがっちりした構造をしています。
最初はケースは捨ててしまうつもりだったんですが、中の基板をはずしたところで、この中にSSBトランシーバーが組み込めないかと思いつきました。局発をVXOタイプにすれば何とかケース内に収まりそうです。
運用周波数は、局発がVXOで可変幅が狭くてすむ7MHZ帯の携帯トランシーバーにすることにしました。以上のような考えで自作したNO2号機は、下の写真のような格好になりました。
正面操作パネル配置(ツマミ類の配置)
上の写真はNO2号機を正面から撮影したものです。右寄りの大きなツマミが周波数可変用のダイアルです。もともとは同じく周波数切り替え用ロータリースイッチ(水晶発振子切り替え用)が取り付けてあったものを外し、バリキャップの電圧可変用のボリュームを取り付けています。右端の下のコネクターはマイク入力用のものです。もともとこの位置に取り付けてあったものを、手持ちのマイクに合うメスのコネクターに取り替えています。
左端の下のツマミは音量調整用のボリュームツマミです。これはもともと取り付けてあったものをそのまま使用しています。その右横のスケルチ調整ボリュームを周波数微調整用に、また、その上のSメーターもそのまま流用しています。
SSBジェネレーター回路
製作当初は、NO1号機をベースにし局発回路のみをVXOに変更することで考えていましたので、SSBジェネレーター回路は、NO1号機(変復調SN76514使用)と全く同じ回路で作っていました。
その後、変復調ICに東芝のTA7320を使用した現在の回路のものに取り替えました。Xtalフイルターは金石舎製の11.2735MHZで、秋月電子で購入したものを使用しています。
手持ちのジャンク水晶(9.216MHZ)を2逓倍して局発周波数に使用することにしましたので、局発は中間周波数より7MHZ高い18MHZ台になります。このため逆ヘテロダインとなりサイドバンドが反転します。以上のことから、キャリア周波数は、ジェネレーターでUSBを発生させる11.272MHZにしています。
このSSBジェネレーター回路は、熊本工作研究会の会報で発表されていたものです。受信回路はIFが2段増幅で、変復調のICに東芝のTA7320が使用されています。AGC回路は復調後のAF信号を更に1段増幅し、その信号を整流してマイナス電圧作る、ハングAGCタイプと呼ばれる方式になっています。使用した感じではAGCがうまくかかり、なかなか快調に動作しています。
ついでに、ラダータイプフイルターを搭載したSSBジェネレーター回路を載せておきます。興味のある方はご覧下さい。
ラダータイプフルター搭載のSSBジェネレーター回路図を見る(gif 55kb)
トランスバーター回路
トランスバーター回路は、ミクサーにリングダイオードを使用したものです。送受信ともアンプは2SK241をそれぞれ使用しています。
局発は9.216MHZのジャンク水晶をVXO回路で可変しています。発振回路で2倍波の18MHZを取り出し、ストレートアンプ(1段)で10mw程度まで増幅し、リングダイオードミキサーをドライブしています。
VXOの周波数可変にバリキャップを使用し、7.000MHZ〜7.100MHZ間の可変が出来るように作っています。
パワーアンプ回路
パワーアンプ回路は、ドライバーに2SC2086、最終段のトランジスターに2SC2166を使用したワイドバンドタイプのアンプです。周波数が7MHZと低いため、終段トランジスターのゲインは10dbを軽く越え、6W程度の出力が得られました。
※上記回路のままではフイルター類が足らずスプリアス規制値をクリアーできません。最低でも2段以上のローパスフイルターの追加が必要です、
使用した感じ(受信のみ)
いやーワッチしてびっくりしました。大体予想はしていましたが、相変わらずものすごい混みようです。これではQRPのシグナルでは太刀打ちできそうにありません!! アンテナを準備していなかったこともあり、結局ワッチしただけで戦意喪失してしまいました。
それと、もう1点気になる箇所がありました。それは局発周波数が安定しないことです。VXO回路にバリキャップを使用したところ、思ったより周波数の安定度が悪く、周波数カウンターで監視してみますと、最初は周波数が下がり、しばらくすると今度は周波数が上がっていきます。以降は周波数が上がったり下がったりの繰り返しでした。
PLL回路の周波数安定度が頭の中にインプットされており、これと比較しては可哀想ですが、それにしても周波数がアップダウンするのはどうもいただけません。バリキャップもダイオードですので、温度特性が悪いことは覚悟していましたが、この周波数アップダウン問題は予想外の結果でした。
この問題は、可変周波数を狭くしても治まらず、結局バリキャップをエアーバリコンに変えるとことでしか問題点は解決できませんでした。
周波数可変にバリキャップを使用されている方、一度周波数カウンターで周波数の動きを見てみられませんか? 面白い周波数変動が観察できるかもしれません。