DVB-T+DAB+FM USBチューナーを使用した広帯域受信機

(最終更新 2019.02.13)


 「DVB-T+DAB+FM USB チューナー」という名称で販売されているUSBドングルがあります。一見すると USBメモリーかなと思える形状をしています。もともとは、ディジタルテレビ受信用 (DVB-T=Digital Video Broadcast Terminal)として作られているもののようです。

 この小さなUSBスティックは、本来のTVチューナーとしての使い方以外にも、とんでもない潜在能力が あるようです。それはパソコンにインストールした専用のラジオソフトとの組み合わせで、24MHZ〜1800MHZの 超広帯域オールモードの受信ができるというものです。

 このようなすばらしい能力を持ったUSBスティックが、わずか千円ちょっとで購入できますので、お遊びで 試してみる価値はあると思います。ということで前置きが長くなりましたが、以下その概要と受信機として 働かせるための導入方法についてご紹介します。


DVB-T+DAB+FM USB チューナー


SDR写真1  SDR写真2  SDR写真3  SDR写真4

 上の写真は現在販売されているUSBスティックの主なものです。一番右の製品はゾックスというメーカーが発売 している商品で数百円で売られています。この製品のチューナーICにはFC0013(復調ICはRTL2832U)が搭載されていました。 またこのゾックス製品は専用のTVソフトを使用して国内のワンセグTV放送も受信可能です。

 右から2番目の緑色のもののチューナーICは、R828Dが使用されていました。ラジオソフトのHDSDRで使用する 場合は、旧タイプのExtIO_RTL.dllでは動作しませんでした。最新のExtIO_RTL2832.dllに変更したところ、何とか 動作するようになりました。

 左2つの製品は数年前までは千円以下で販売されていましたが、オールモード広帯域受信機として使えることが わかり、急に人気が出たのか、現在は値上がりし1500円前後で販売されているようです。

 商品としてはアマゾンやYAHOOのネットオークションで売られていますので、比較的簡単に入手できます。内部 の基準発振用の水晶が安定したものに交換されたものや、24MHZ以下も受信可能とした商品とかも売られています。 お遊び程度で使う場合は、目安としてR820T2が使用されていて値段が一番安いもので十分です。


USBスティックの内部構造と搭載されているチューナーICの受信可 能周波数

 下の写真はUSBスティックの内部を写した写真です。左に配置されているICが復調用ICです。この部分には どのUSBスティックにもRTL2832Uが使用されています。逆にこのRTL2832Uが搭載されていないUSBスティックでは ラジオソフトが使えないということになります。

 基板の右に配置されているICがチューナーICです。搭載されているチューナーICは製品によってまちまちで、 大まかに下記の表に記載された、いずれかのICが使用されているようです。このチューナーICの種類によって受信 可能周波数範囲等に差があります。

 各チューナーICの受信可能周波数は下記の表のとおりです。現在使用されているチューナーICはR820TまたはR820T2が 主流のようです。各チューナーの感度差については、わたしが持っている4種類を137MHZ帯の気象衛星の受信画像で判断した 結果では、FC0013<R828D<R820T=R820T2になりました。特にFC0013は残りの3つに比べると明らかに感度が劣ると感じました。

 

(※参考情報 DVB-T+DAB+FM USBチューナーの回路図に興味がおありの方は下記ブログで公開されています)
閑人さんのブログ (チューナーIC(R820T)と復調用IC(RTL2832U)の回路図を見ることができます)


搭載されているICの確認方法


 購入した製品に搭載されているチューナーICと復調ICが何なのかの確認方法についてですが、一番原始的な方法は30倍程度の 照明付拡大鏡で見ると一目瞭然です。下の写真は拡大鏡でICを確認しているところです。(※この拡大鏡はアマゾンで400円程度で 販売されています)

     

 パソコン画面上で確認する方法があります。復調用ICのRTL2832Uについては、スタート→コントロールパネル→システム→デバイス マネージャーを順に開くと、下の左端の画面で確認できます。チューナーICは、ラジオソフトSDR#ではCofigure Souce画面、HDSDRでは ExtIO画面をそれぞれ開くと確認できます。下の右2つはその確認画面です。

 R820TとR820T2はどちらもR820Tとして表示されますので、上記の確認方法ではどちらか判断できません。R820T2の方が後継デバイスで、 R820TよりS/Nが良好とのことですので、知りたいところですが、これについては残念ながら拡大鏡による判別が必要です。

     

動作させるための接続方法


 接続方法というほど大げさなものではなく、スティックをパソコンのUSBポートに差込みアンテナ線を接続するだけです。もちろん事前に 動作させるパソコンに、Zadig(ザーディグ)によるドライバーの組込みとラジオソフトのインストール作業が別途必要です。

     

受信機として動作させるための作業


 受信機として働かせるためには、大まかに次のような作業が必要です。@ZadigのダウンロードとZadigを使用したドライバーの組込みAラジオ ソフトのダウンロードとインストールです。

 ラジオソフトは何種類かあるようですが、わたしは代表的な「SDR#」と「HDSDR」をインストールし、主にHDSDRを好んで 使用しています。利用できるラジオソフトについては、下記のサイトで見ることができます。興味のある方はチェックしてみてください。

ラジオソフトとして使用できるものが掲載されているサイト
RTL-SDR.COMのホームページ

 ドライバーインストール用のZadigとラジオソフトのSDR#は「AIR SPY」のサイトからダウンロードできます。またHDSDRについては、HDSDRのホームページから ダウンロードできます。


ZadigとSDR#のダウンロード前の作業


 導入のための必要な作業については、ファイル管理等を理解した方には「木で鼻をくくったような説明」つまり AIRSPYのサイトからWindowsSDRソフトウエアーパッケージをダウンロードし、解凍してインストールバッチを実行する。さらに、パッケ ージ内のZadigを実行してUSBドングルのドライバーを組み込む。で十分かもしれませんが、その昔のわたしのように解凍はどの ようにするのかが分からない方のために、少し詳しく説明することにしました。

 そのようなことから、各作業の具体的各画面コピーを順に掲載しますので、少々長めの説明になっています。上記の「木で鼻をくくった説明」で 作業ができる方は、適当に読み飛ばしてください。

 ドライバーやラジオソフトのダウンロード前に、ソフトウエアーの収納フォルダーを事前に作っておく方が、あとの作業が楽になりますので、 それを先にご説明します。そんなもの必要ないと思われる方はアクセス先のみを参照され作業を進めてください。 (※以後の操作は自己責任でお願いします)


フォルダー作成の手順

 

 

   

   

   



解凍ソフトのダウンロードとインストール手順


 AIR SPYからダウンロードするファイルはZipファイル(圧縮ファイル)になっていますので、これを解凍するソフトの事前インストール が必要になります。これも事前作業として先に実行しておきます。以下圧縮ファイルの解凍ソフトLHASAのダウンロード、およびインストール 方法について説明します。

解凍ソフト(LHASA)のダウンロードサイト
窓の杜のホームページ

 

 

   

   

   

 以上の操作でZipファイルの解凍処理の関連づけができあがりますので、以後はZipファイルをディスクトップ上にできているLHASAアイコンの上に 持っていくと、同じ名前の新しいフォルダーが作成され、ファイルが解凍処理されます。



  Zadigとラジオソフトのダウンロードとインストール


 前項までの作業でダウンロードファイルの置き場所の準備が完了し、ファイルの解凍作業もできる環境が整っていますので、早速ダウンロード等の方法について ご説明します。

Zadigとラジオソフトのダウンロードサイト

AIR SPYのホームページ

 

 

   

 



Zadigによるドライバーの組込み


 前項までの操作でラジオソフトSDR#のインストールは完了しています。さっそくSDR#を起動させたいところですが、もうひとつ 重要な作業が残っています。それはZadigを使ったドライバーの組込み作業です。

 下記の作業でUSBスティックのドライバーを組み込みますので、事前にUSBスティックをパソコンの USBポートに差し込んだ後、下記の操作を行ってください。

 

 

   

 

 

 以上、長々とした説明でしたが、とりあえずラジオソフトSDR#が起動できる状態になっているはずです。わたしの説明のまずさから、 不幸にしてうまく起動できなかった場合は、この件に関して説明されているホームページ等がたくさんありますので、それらも参考に されながらなんとか起動できるようにしてください。

 ラジオソフトがうまく起動できたとした場合、次のステップとしてSDR#画面上で諸設定が必要です。これについては、 わたし自身もあまり詳しくありませんので、詳しく説明されているサイトを下記でご紹介します。このサイトを参照されSDR#がうまく 働くようにがんばってください。(※完全な他力本願の手抜きですみません)

SDR#の設定に関する詳細説明があるサイト

ゆうちゃんのパパさんのブログ

 ※上記の「ゆうちゃんのパパさんのブログ」はRTL SDRに関する書き込みがたくさんあり、もっと詳しく知りたいと思われる方は、関連事項も 含めて是非参考にされることをおすすめします。



SDR#動作画面


 最後にラジオソフトSDR#の動作画面をご紹介します。27MHZ帯(AM)を受信しています。電波が出ているところにマーカーが立ち、 スペアナ風に信号が表示されているのが見えています。



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