ジャンク品を多用する自作無線家にとって、抵抗やコンデンサーの容量判定に苦労する場面が多々あります。抵抗はカラーコードから容量判定ができますし、色判定が難しいものは最終手段としてテスターで測定ができます。ところがコンデンサー容量判定に関しては、カラーコードや記入数値でしか判断できません。これらのないものについては、何らかの測定器が必要になります。そこで登場するのがこの静電容量計(Cメーター)です。
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わたしが自作している容量計は、過去に雑誌「ハムジャーナルNO44号」の誌上で、「熊本工作研究会」の主宰である田縁OM(JA6BI)が制作記事を発表されていた回路で作っています。雑誌には、この静電容量計の基本原理は、増沢OM(JH1HTK)により考案され、田縁OM(JA6BI)により多少アレンジして発表したと記述されていました。
測定レンジは100μA電流計のフルスケールで、測定可能容量は最小が10PF、あと100PF、1000PF、10000PF……と順に測定可能です。
フルスケール10PFレンジを使用すると、100μAの電流計がフルスケールの時に10PF、1/10の10μAで1PF、また5μAで0.5PFになります。このようにメータの指示値が、そのままコンデンサー容量として直接読みとれる優れ物です。
何よりも使い勝手がいいのは、測定用リード(ワニグチクリップ付き)などの浮遊容量をキャンセルできる補正ボリュームがついていることです。この補正回路がないと、特に小容量のコンデンサーの容量測定では、浮遊容量が大きく影響し正確な測定結果が得られません。あらかじめこの浮遊容量だけを測定しておいて、指示値から差し引くという方法もありますが、いちいち差し引き計算をする煩わしさがあります。その点この容量計は、指示値がそのままの真値ですので使い勝手が非常にいいといえます。
また、使用するパーツは100μAの電流計が少し高価ですが、あとの部品は比較的安価で、どこででも入手可能なものしか使用されていません。回路もあまり複雑ではなく自作にはもってこいの測定器でしょう。
外観写真 内部写真
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わたしは基板やレンジ切替のロータリースイッチ、100μAの電流計などを、上の写真のように上面が傾斜したケースに収納しています。この容量計が完成するまでは、ジャンクのコンデンサーはプラスチックのトレイにまとめて入れていました。せっかく測定器ができあがりましたので、実際にこの容量計を使用し、コンデンサー1コ1コの容量測定を行い50PF以下、50〜300PF、300〜1000PF、1000PF〜と順に種分けしケースに入れ直しました。
測定していて気が付いたんですが、表示値と実測値には結構バラツキがありました。もっともそのへんを見越して、このコンデンサーの誤差許容値は○○パーセントとなっていますね。
トリマと固定コンデンサーを組み合わせて一定の容量を完成させる場合には、この誤差も含めた真値が分かると作業がやりやすくなります。また、このトリマコンデンサーの最小値はどの位置か?また最小容量は幾らか?など、測定器があって初めて分かります。
ということで、この静電容量計は、数値表示の見づらいものや、消えてしまったもの、さらにチップコンデンサーの容量判定などで大いに活躍しています。
久しぶりにCメータのコーナーの内容を更新しましたので、ついでにLメータも紹介することにしました。とはいうものの、Lメータはご存じ秋月電子のキットを組み立てただけです。キットを組立てもやはり自作品の部類に入るんでしょうか? 自作しましたというにはちょっと気が引ける作品です。
最近Cメータの件でメールをいただいた方の話では、このキット現在は販売されていないようです。(売り切れ?)Cメータは結構使いますが、このLメータは作った後、あまり頻繁に使用した記憶がありません。時たまチョークに使うインダクタンスの容量判定に使ったかな程度です。
私の自作品には、完成した年月をレタリングで貼り付けています。このLメータも正面の右上に1994年Febのデータが入っています。
正面写真 側面写真 内部写真
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