50MHZ 4EL ZLスペシャルアンテナ

50MHZ 4EL ZLスペシャルアンテナ

(最終更新 2023.07.01)


 さて前作の3ELのZLスペシャル関係の作業はすべて終了しましたので、次のステップの4ELのZLスペシャルの検討に入りました。前述のように3ElのZLスペシャルでは、ZLスペシャルのサンプルファイルを使用して計算させても、思うような計算結果が得られませんでした。そこでこの4ELでは同じ位相差給電タイプアンテナのHB9CVのサンプルファイルを使って、フロントゲインやF/B比の良さそうなものをいろいろ検討してみました。最終的な計算結果は下記の表ようになりました。

 上記のRa(副射器)とRf(反射器) 間の距離S3は位相差給電タイプのアンテナでは通常1/8λにします。ZLスペシャルではS3部分に300Ωのフィーダー線を使用しますので、このフィーダー線の短縮率0.89(実測値)を掛ける必要があります。このため0.66m(300/50.2MHZ*0.89/8=0.66m)にしています。一方アルミパイプを使用したメーカー製のHB9CVの場合は、この短縮率を掛ける必要がないため、S3が075m(300/50.2MHZ/8=0.75m)になっていると思います。


  300Ωフィダー線の販売サイト オヤイデ電気ホームページ



 上記の「まぼろしの4EL ZLスペシャル」のMAAファイルにリンクをしておきますので、興味がおありの方はダウンロードしてMMANAソフトで開くと、計算結果の詳細を見ることができます。なお、アンテナ計算ソフトMMANAの入手方法や計算方法については別項の「MMANAでZLスペシャルを計算させる」のコーナーで説明をしています。MMANAソフトはフリーソフト(無料ソフト)ですので、お持ちでない方はこの機会に導入されることをお勧めします。

4EL ZLスペシャル(4EL HB9CV).MAAのダウンロード

※ダウンロードは上記アイコンをマウスで右クリックし「名前を付けてリンク先を保存」をクリックし適当な場所にダウンロードしてください。


 さて、計算結果ではフロントゲインが8.57dBd、F/B比が23.71dBとまずまずの計算結果です。ブーム長さが3.37mと長くなっていますので、特にF/B比が20dBを超過しています。4ELになるとさすがにF/B比がぐんと上がりますね。ところで計算上の共振周波数が56.465MHZになっています。これに関する考え方は、前作の「50MHZ 3EL ZLスペシャルアンテナ」のコナーの終わりの方にある「エレメントの長さを変更してみた」の中で詳細な説明をしています。興味がおありでしたら当該箇所を参照ください。

 ところで、この4ELを作るかどうかを考えた時、F/B比は大幅に改善されますがフロントゲインの増加は3ELに比べわずか1.25dBd(8.55-7.3=1.25)程度です。これは何も自作だからということではなく、メーカー製でも下記の表のように3ELと4ELのアンテナゲイン差は大体+1.5dBd程度です。

 これについては下記の表を見ると、ダイポールアンテナ(※0dBd)から1つエレメントを増やして2ELした場合、約3dBd(※HB9CVでは約4dBd)ゲインアップになっています。また2ELから3ELにエレメントを1つ増をした場合も同じく約3dBdのゲインアップになっています。ところが3ELから4ELの場合は、エレメントを同じように1つ増やしても、約半分の1.5dBd程度にしかゲインアップになっていません。このように3EL以上のアンテナのエレメント増では、エレメントを1つ増やしても、ゲインアップは約1.5dBdに留まることが分かります。

 ところで2021年9月までは、アンテナ設備は下の写真の右側に建っている12mのコン柱に上げていました。そのようなことからアンテナが少々大きくなろうが問題はありませんでした。しかしながら現在は諸般の事情から、ローテーターを含めたアンテナ設備は、ワイヤーアンテナを除き全てコン柱から撤去しています。下したローテーターを含むアンテナ設備は、現在は下の右の写真のように車庫の屋根上の太陽光温水器の架台に間借りしたような設置形態になっています。


   
※各写真上をクリックすると拡大写真が見られます。
2021年まで右のコン柱に上げていた
現在温水器架台に添わせて地上高は6m
この時のZLスペシャルの地上高は約12m
わずか2ELでも非常に良く飛んでいた
現在は諸般の事情で、太陽光温水器の
架台に添わせたような形で設置している


 このような悪条件下で欲張って大きなアンテナを上げると、太陽光温水器そのものがひっくり返る可能性があります。しかしながら機会があれば是非21MHZのZLスペシャルの3EL化をしたいと考えていました。

 総重量的には当然21MHZ 3ELの方が重くなりますが、21MHZのZLスペシャルを2ELから3ELに改造した場合のゲインアップは、倍の+3dBdのゲインアップになります。わずか3dBdのゲインアップですが、実戦面では話している内容がはっきりと聞き取れない微弱な信号が、話している内容がはっきり聞き取れるようになります。

 アンテナの地上高が半分の6mになったこともあり、最近は2ELでのQRP運用に力不足を感じていました。過去に21MHZの3EL ZLスペシャルを使用した経験がある当局にとっては、是非とも欲しい3dBのゲインアップです。このようなことから50MHZ ZLスペシャルの4EL化より、工事効果の大きな21MHZの3EL化を先に実施することにしました。

 ということでこの50MHZの4EL ZLスペシャルは、計算のみで実際に作らないため「まぼろしの4EL ZLスペシャル」になります。このデータでアンテナを作りませんので、果たして計算通りの性能が出るかの保証はありません。しかしながら、どなたか試しに作られたらと思い、エレメントデータをアップしました。もし作られた場合、共振はしたがインピーダンスマッチングがうまくいかずSWRが高くなることが予想されます。このような場合は「IV電線で作る50MHZ八木アンテナ」のコーナーで紹介していたT型CLCアンテナカプラーを入れてインピーダンスマッチングを取るとうまくいくと思われます。



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